「老化という“病”を治す時代」が現実味を帯びてきた。細胞レベルで見る“老化の本質”4/4

2022.10.13 更新

医学はどこまで万能なのか?

先述のダザチニブとGLS-1阻害剤。いずれも抗がん剤であることは非常に興味深い話です。

抗がん剤投与により老化細胞が生じ、その老化細胞を除去するために抗がん剤を投与する。何とも摩訶不思議な話です。医学はかくも複雑怪奇な学問で、すべてが叶うような魔法の薬はなく、医師もまた万能ではないのです。それでも、人類は膨大な先人たちの偉大な叡智、巨人の肩に乗り、歩みを進めてきました。今回もまた、同じく。

“老化の本質は何か?”

極めて深淵な問いです。一つの学問、一つの切り口だけで結論を出すことは、「木を見て森を見ず」に陥りがちです。複数の学問、複数の切り口から総合的に判断し、それをretrospective(回顧的)に評価して、やっと本質の辺縁が掴めます。『細胞レベルで見る“老化の本質”』だけで答えは出ないのですが、読者の方の理解が深まる一助になれたのなら、望外の喜びです。次回の『遺伝子レベルで見る“老化の本質”』と併せて、深掘りしていただければ幸いです。『人類は老化という病を克服する』。

※「老化という“病”を治す時代」が現実味を帯びてきた。細胞レベルで見る“老化の本質” 4回の掲載(9/1、9/15、9/29、10/6)は幻冬舎ゴールドオンラインにも転載されました。