「老化は“病”である」。世界保健機関(WHO)も肯定…驚愕の“新常識”2/4

2022.07.21 更新

“老化”と加齢は違う…「老化の本質」とは

ウェルナー症候群などの(早期)老化症は、私たちに以下の事柄を突きつけます。

 

●“老化”と加齢は違う。

●“老化”とは動的なプロセスである。

●“老化”は原因、老年病(老年症候群)は結果である。

 

どうでしょう。少しずつ、読者の方の“老化”に対する常識、固定観念が揺さぶられてくるのではないでしょうか? 上記の事柄を、順を追って説明してみましょう。

 

<“老化”と加齢は違う>

そもそも、加齢=aging、老化=senescence(セネッセンス)と表現がまったく異なるのです。

 

このsenescenceは“個体の老化”のみならず、“細胞の老化”の意味も持っています。つまり、老化の主体も違うのです。

 

個体レベルでの老化と、細胞レベルでの老化、遺伝子レベルでの老化。詳細は割愛しますが、この区別をすることで、 “老化の本質”を解像度高く理解することができるのです。

 

<“老化”とは動的なプロセスである>

ここで話を戻します。加齢とは、生誕から現在に至るまで、一定の速度で一方向性に進行する過程です。対応する概念は「暦年齢(chronological age)」。一方で、老化に対応する概念は「生物学的年齢(biological age)」とでもいうべきものです。フィットネスジムやエステなどで、体年齢、血管年齢、肌年齢などに一喜一憂する読者の方も多いのではないでしょうか?

 

そう、この「生物学的年齢」が増えたり減ったりしていることを、日常的に受け入れているのではないでしょうか?

 

その“年齢”は可逆的で、努力次第では、その変化の幅もいっそうダイナミックなものであるはずなのです。老化とは、加速したり減速したり、場合によっては巻き戻ったりする、極めて動的なプロセスなのです。

 

<“老化”は原因、老年病(老年症候群)は結果>

従来、老化とはその本質が掴めず、ただそこにある生理現象でした。受け入れる以外の選択肢はなく、加齢との違いも混同されることも多く「加齢≒老化」した状態になって発症する、老年病(老年症候群)に対する対症療法ばかりが追求されてきました。それが、「ゲノム解析」などのテクノロジー、技術革新により一変しようとしています。「加齢≠老化」の前提に立つならば。老化の本質を掴み、老化そのものを治療することができたならば。老年病(老年症候群)の原因である“老化”に対する治療は、根本治療と言えるのではないだろうか?

 

2019年にWHO(世界保健機構)が公表したIDC-11という国際疾病分類の第11回改訂版にも、明確に“老化”の概念が盛り込まれています。

 

老化とはもはや、人類が克服すべき治療対象の疾患と定められているのです。

 

※「老化は“病”である」。世界保健機関(WHO)も肯定…驚愕の“新常識” 4回の掲載(7/7、7/21、8/4、8/18)は「幻冬舎ゴールドオンライン」にも転載されました。