『老化は治る。』は既定路線

2024.07.01 更新

『老化は治る。』は既定路線

2020年、pubmedに「老化は治る」とする衝撃的な論文が掲載されました。

世界保健機構(WHO)が制定する国際疾病分類第11版(ICD-11)に「老化とは(単なる生理現象ではなく)疾患であり、治療対象とすべきものである」という概念が盛り込まれたのです。

より正確に言うならば、「XT9T = aging related」というエクステンションコードが制定されました。

始まりは2009年

「Life Span」という書籍が世界的ベストセラーになりました。

アンチエイジングに興味のある方ならば、ご一読された方も多いかもしれません。私もその一人です。

この書籍の特殊なところは、著者が老化治療の世界的権威、David Sinclair(デイビッド・シンクレア)でしょう。

その冒頭では、2009年、ロンドン王立協会で「老化とは治療が可能な疾患であり、克服すべき対象である」との内容が、世界的科学者たちの間で結論付けられた、と記載があります。

それから遅れること約10年。

医学情報の、最大にして、最も信頼性にたるデータベース、pubmedでも情報が確認できるようになりました。

世界は、「老化は治る」ことを既定路線として、動き出しているのです。

老化治療薬の出現

現在は最早、老化が治るかどうかを議論している段階ではありません。

世界中の研究者、医者が、「老化は治る」という前提のもと、各種の“老化治療薬”を研究、開発、検証をしている真っ只中なのです。

銀座アイグラッドクリニックも、その一躍を担っています。

老化治療薬として話題のNMNの上位互換である可能性を秘めた物質、5デアザフラビン(TND1128)を用いた臨床研究(観察研究)を世界で初めて実施しました。

目を見張る様な臨床例を経験するにつれ、「このような物質を単純なサプリメントで普及させてはならない」と感じています。

医師の総意、民意を問うべく、学会での発表や、業界紙への投稿を行っております。

老化の12要因

単なる生理現象として認識されてきた“老化”。

その正体が、科学技術の進歩とともに、判明しつつあります。

老化とは、9つの特徴(2013年)、12の要因(2023年)で構成される、とする論文が掲載されています。

老化に対する解像度は、ここまでクリアになってきているのか、と驚くこと間違いなしです。

2050年、ICD-12を見越して

ICDは約30年に一度改定されるのが常です。

そうであるならば、次の改定である国際疾病分類第12版(ICD-12)は2050年ごろに制定されると予想されます。

ここに役立ちたいと思うのは、医師の本能です。

銀座アイグラッドクリニックでの貴重な臨床例を、このICD-12の内容に反映できたとしたら、医師人生として、冥利に尽きます。