NMN摂取量の目安は?年齢別の適量と期待できる効果を解説

2025.02.28 更新

NMNは、体内でエネルギー産生や細胞機能の維持に関わるNAD+という物質に変換される成分です。加齢とともに減少するNAD+をサポートすることで、健康維持への働きが期待されています。

NMNは、ブロッコリーやアボカド、枝豆などの食品にも含まれている成分ですが、食品からの摂取だけでは十分な量を得ることは難しいため、サプリメントとしての摂取に関心が高まっています。

2023年の臨床試験では、NMN摂取により身体機能の向上も確認されました。NMNの効果的な摂取量や効果について、詳しく解説します。NMNの摂取をご検討の方は、医師や薬剤師にご相談のうえ、ご自身に合った選択をしてください。

NMNの若返り効果には期待が集まる一方で、リスクもあります。安全に活用するために、知っておくべきポイントを詳しく解説していますので、気になる方は以下の記事もチェックしてみてください。
>>NMN若返り効果の危険性とは?知っておくべきリスクと注意点

NMNの効果と働き

NMNの効果や働きについて、以下の内容を解説します。

  • NMNの定義と体内で果たす役割
  • サーチュイン遺伝子との関係
  • 老化との関連性

NMNの定義と体内で果たす役割

NMNは、ニコチンアミド・モノヌクレオチドの略称で、ビタミンB3から作られる物質です。 私たちの体内にもともと存在し、野菜や果物などにも含まれています。

体内でNMNは、NAD+と呼ばれる別の物質に変換されます。 NAD+は、私たちの細胞の中で、エネルギーを作り出したり、細胞の修復を助けたりと、さまざまな重要な役割を担っています。

年齢を重ねるにつれて、私たちの身体の中で作られるNMNの量は減ってしまいます。 NAD+の減少にもつながり、エネルギー産生が低下したり、細胞の修復機能が衰えたり、老化が進む原因の一つと考えられています。

サーチュイン遺伝子との関係

NMNが体内で変換されるNAD+は、サーチュイン遺伝子と呼ばれる、長寿に関連する遺伝子の働きをサポートする役割も持っています。 サーチュイン遺伝子は、傷ついた細胞を修復したり、老化のスピードを遅らせたりすることで細胞を健康な状態に保ってくれているのです。

老化との関連性

年齢を重ねるにつれて、私たちの体内で作られるNMNの量は減少し、NAD+も減少していきます。 中高年を対象とした臨床試験では、NMNサプリメントを摂取することで、血中のNAD+濃度が増加し、身体機能の向上や血液学的年齢(身体の状態から推定される年齢)の改善が見られたという報告があります。

NMNが加齢に伴うさまざまな症状の改善に役立つ可能性を示唆しています。 NMNの摂取によって、疲れやすくなった、物忘れが増えた、などの症状が改善される可能性があります。

NMNは魔法の薬ではありません。 NMNは、あくまで健康をサポートするための選択肢の一つとして捉えることが重要です。NMNサプリメントは医薬品ではなく健康食品であるため、効果には個人差があります。 効果を実感するためには、適切な量を継続的に摂取することが大切です。

NMNサプリには「本当に効果があるのか?」という疑問の声もあります。実際の研究結果や科学的な視点から、NMNの期待と現実について詳しく解説していますので、気になる方は以下の記事をご覧ください。
>>NMNサプリは効果なし?期待と現実のギャップを科学的に解明

NMNの摂取量の目安とポイント

NMNの摂取量の目安とポイントについて、以下の内容を解説します。

  • 年齢別・性別の適切な摂取量の目安
  • 目的別の摂取量の目安
  • 摂取量を決めるうえでの注意点
  • NMNサプリメントの種類と選び方

年齢別・性別の適切な摂取量の目安

現在、年齢や性別によってNMNの適切な摂取量が厳密に定められているわけではありません。一般的には、1日の目安として150~300mgとされています。150~300mgの数値はあくまで一般的な基準であり、個人差があることを理解することが重要です。

150mgから始めてみて、ご自身の体調に合わせて調整していくのがおすすめです。重要なのは、毎日一定の量を継続的に摂取することです。自分の身体と対話しながら、最適な摂取量を見つけていきましょう。

目的別の摂取量の目安

NMNを摂取する目的によっても、適切な摂取量は異なってきます。日々の健康維持を目的とする場合と、加齢に伴う身体機能の低下や疲労回復といった具体的な効果を期待する場合では、最適な摂取量が異なる可能性があります。

目的別に明確な摂取量の基準が定められているわけではありませんが、一般的な量から始めてみましょう。特定の症状の改善を目的としてNMNを摂取する場合は、自己判断せず、医師や薬剤師などの専門家に相談することをおすすめします。専門家のアドバイスを受けることで、より安全かつ効果的にNMNを活用できます。

摂取量を決めるうえでの注意点

NMNは、過剰に摂取しても体外に排出されるため、重篤な副作用の心配は少ないと考えられています。しかし、一度に大量に摂取すると、吐き気や下痢などの消化器系の不調を引き起こす可能性も否定できません。適切な量を守って摂取することが大切です。

安全にNMNを摂取するためには、少量から始め、徐々に量を増やしていく方法が安全です。ご自身の体調に合わせて、無理のない範囲で摂取量を調整するようにしましょう。

NMNサプリメントの種類と選び方

NMNサプリメントには、カプセルタイプや錠剤タイプ、粉末タイプなどさまざまな種類があります。NMNサプリメントを選ぶ際には、純度や配合量、β-NMNであるか、GMPマークの有無などを確認することが大切です。確認すべきポイントは以下のとおりです。

  • 高純度(99%以上)のNMNが使用されているか
  • 1日の摂取量を考慮した適切な配合量か
  • 体内での利用効率が高いβ-NMNを使用しているか
  • 製造工程の品質管理基準であるGMPマークが付いているか

価格だけで判断せず、品質や安全性を重視して選ぶようにしましょう。信頼できるメーカーの製品を選ぶことも重要です。

NMNの効果と副作用

NMNは近年、若返りの薬として注目を集めていますが、効果や安全性については、まだ十分に解明されていない部分もあります。効果を期待する一方で、副作用の可能性についても理解しておくことが大切です。NMNの効果と副作用について、以下の内容を解説します。

  • 期待できる効果
  • 報告されている副作用
  • 他のサプリメントとの

期待できる効果

NMNは、体内でNAD+という物質に変換されます。NAD+は、細胞内のエネルギー産生やDNAの修復、サーチュイン遺伝子の活性化など、生命活動の根幹を支える重要な役割を担っています。

加齢とともに体内のNAD+量は減少していきます。NAD+量が減少すると、エネルギー代謝の低下や細胞の老化促進につながると考えられています。NMNを摂取することでNAD+の産生を促し、加齢に伴うさまざまな症状の改善が期待できるのです。具体的には、以下の効果が期待されています。 

  • エネルギー代謝の向上:身体が疲れやすい、だるさを感じるといった症状の改善 
  • 身体機能の向上:より活動的になり、運動能力の向上が期待できる
  • 睡眠の質の改善:より深く、質の高い睡眠を得られるようになる
  • 認知機能の改善:記憶力や集中力の向上につながる可能性がある
  • 肌の老化防止:シワやたるみの改善

NMNがNAD+産生を促進することで、細胞レベルでの機能改善が期待されています。

報告されている副作用

現在のところ、NMNの摂取による重篤な副作用は報告されていません。しかし、すべての人に副作用が出ないというわけではありません。体質によっては、下痢や吐き気、頭痛やめまい、発疹などの症状が現れる可能性があります。

NMNを摂取して身体に異変を感じた場合は、すぐに摂取を中止し、医師に相談してください。

NMNの副作用についてはまだ研究が進められている段階ですが、より詳しく知りたい方のために、服用前に注意すべきポイントをまとめています。安全に活用するための対策についても解説していますので、ぜひ以下の記事をご覧ください。
>>NMN副作用の全貌!服用前に知っておくべき注意点と対策

他のサプリメントとの併用時の注意点

NMNと他のサプリメントを併用する場合、相互作用が起こる可能性があります。医薬品を服用している場合は、必ず医師や薬剤師に相談してから併用しましょう。サプリメント同士の組み合わせによっては、効果が弱まったり、副作用のリスクが高まったりする可能性もあります。

それぞれのサプリメントの特徴をよく理解し、慎重に併用することが重要です。

NMN摂取量の目安と効果に関するよくある質問

NMN摂取量の目安と効果に関するよくある質問について、以下の内容を解説します。

  • NMNはいつ摂取するのが効果的?
  • どのくらいの期間摂取すれば効果が現れる?
  • 摂取を中止するとどうなる?
  • 妊娠中・授乳期に摂取しても安全?

NMNはいつ摂取するのが効果的?

NMNサプリメントは、基本的にいつ摂取しても大きな問題はありません。ご自身のライフスタイルに合わせて、無理なく続けられるタイミングで摂取するのが一番です。

1日のうちで推奨されるタイミングは、就寝前です。夜にNMNを摂取することで、成長ホルモンの分泌が促され、睡眠中の疲労回復や細胞の修復をサポートする効果が期待できます。

成長ホルモンは、成長期だけでなく、大人にとっても重要なホルモンで、筋肉の維持や骨の強化、代謝の促進など、さまざまな役割を担っています。良質な睡眠中に成長ホルモンが十分に分泌され、日中の活動で疲れた身体を効果的に回復することができるのです。

NMNは水溶性で吸収が速いため、空腹時に摂取すると効果的に体内に吸収されます。食後に摂取する場合は、すでに胃の中に食べ物があるため、消化に時間がかかり、NMNの吸収効率が若干低下する可能性があります。

就寝前、空腹時、食後、それぞれの摂取タイミングのメリット・デメリットをまとめると以下の表のようになります。

摂取タイミング メリット デメリット
就寝前 睡眠の質の向上、疲労回復効果 忘れやすい可能性がある
空腹時 吸収効率が良い 食事を摂る必要がある
食後 摂取しやすい 吸収効率が若干低下する可能性がある

ご自身の生活リズムや習慣に合わせて、最も続けやすいタイミングを選んでみてください。

どのくらいの期間摂取すれば効果が現れる?

一般的には、数週間から数か月継続して摂取することで、効果を実感しやすくなると言われています。個人差が生じる理由としては、年齢や生活習慣、体質、持病の有無、併用薬など、さまざまな要因が考えられます。

2023年に発表された中高年を対象とした臨床試験では、300mg、600mg、900mgのNMNを1日1回、60日間摂取した結果、すべての投与群で30日目と60日目に血中NAD+濃度が統計的に有意に増加しました。

身体機能の指標となる6分間歩行テストの歩行距離も、NMN投与群で有意に増加しました。NMNを摂取することで体内のNAD+レベルが上昇し、身体機能の改善につながる可能性が示唆されています。

摂取を中止するとどうなる?

NMNサプリメントの摂取を中止しても、健康に悪影響を及ぼすという報告はありません。NMNの効果が持続しなくなる可能性はあります。持病がある方や、他の薬を服用している方は、摂取を中止する前に、医師に相談することをおすすめします。

他の薬との相互作用や、持病への影響などを確認することで、より安全に生活できます。

妊娠中・授乳中に摂取しても安全?

妊娠中や授乳中のNMNサプリメントの安全性については、まだ十分な研究データがありません。妊娠中や授乳中の方は、NMNサプリメントの摂取を控えるか、摂取する場合は必ず医師に相談してください。母子の健康を第一に考え、安全性が確認されるまでは、摂取を控えることが賢明です。

妊娠中や授乳中は、ホルモンバランスや身体の状態が大きく変化するため、サプリメントの影響を受けやすくなっています。安易にサプリメントを摂取するのではなく、医師の指導のもと、必要に応じて摂取することが大切です。

まとめ

NMNは体内でNAD+に変換される成分として注目されています。さまざまな研究が行われていますが、効果には個人差があり、医薬品ではないことをご理解ください。ご使用の際は、医師にご相談のうえ、ご自身の体調に合わせてご使用ください。

NMNの摂取量の目安は1日150~300mgで、年齢や目的に合わせて調整可能です。2023年の臨床試験では、600~900mgの摂取でより高い効果が示唆されていますが、個人差があるため、ご自身の体調に合わせて調整することが大切です。

副作用はほとんど報告されていませんが、過剰摂取は避け、信頼できる製品を選びましょう。妊娠中・授乳中の方は医師に相談し、ご自身の体調に合わせて使用しましょう。NMNは健康をサポートする一つの選択肢として、生活に取り入れてみてください。

NMNの長期的な安全性については、まだ研究段階の部分もあり、一部では「発がん性があるのでは?」といった懸念の声もあります。NMNは本当に安全なのか?最新の研究をもとに詳しく検証した記事をぜひご覧ください。
>>NMNの発がん性について検証!安全性と副作用の最新研究

参考文献

Lin Yi, Andrea B Maier, Rongsheng Tao, Zhigang Lin, Aditi Vaidya, Sohal Pendse, Sornaraja Thasma, Niranjan Andhalkar, Ganesh Avhad, Vidyadhar Kumbhar. The efficacy and safety of β-nicotinamide mononucleotide (NMN) supplementation in healthy middle-aged adults: a randomized, multicenter, double-blind, placebo-controlled, parallel-group, dose-dependent clinical trial. Geroscience, 2023 Feb;45(1):29-43.