年齢を重ねるにつれて感じる体の衰えや階段の上り下りでの息切れ、以前は簡単にできた作業への疲労感、鏡を見て「老けたなぁ」と感じることはありませんか?NMNは、加齢による変化に対する健康維持が期待される成分です。
この記事では、NMNの若返り効果のメカニズムや、知っておくべきリスクと注意点、そして自分にぴったりのNMNサプリメントを選ぶためのポイントまで、わかりやすく解説します。
NMNの副作用についてはまだ研究が進められている段階ですが、より詳しく知りたい方のために、服用前に注意すべきポイントをまとめています。安全に活用するための対策についても解説していますので、ぜひ以下の記事もご覧ください。
>>NMN副作用の全貌!服用前に知っておくべき注意点と対策
目次
NMNの働きと可能性|研究が示す3つのポイント
NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)とは、体内で自然に生成される物質で、NAD+という重要な補酵素の前駆体です。NAD+は細胞内のエネルギー産生や代謝、遺伝子発現の調節などに関わる重要な役割を担っています。しかし、加齢とともにNAD+のレベルは低下することが知られています。
最近の研究では、NAD+の減少が老化現象に深く関わっていることが明らかになってきています。NMNを摂取することで、体内のNAD+の量が増加し、加齢に伴うさまざまな変化に対して、効果が期待できる可能性があります。NMNの研究で示唆されている主な働きは、以下の3つです。
- エネルギー産生の向上
- DNA修復の促進
- 抗炎症作用
エネルギー産生の向上
NMNを摂取することで、体内のNAD+の量が補充され、細胞のエネルギー産生が向上する可能性があります。体が活動するためのエネルギー源であるATP(アデノシン三リン酸)の産生が増えることを意味します。
エネルギー産生が活発になると、活動的になり、疲労感の軽減が期待できる可能性があります。日常的な活動においてもサポート効果が期待できます。階段の上り下りや少しの運動でも息切れしにくくなります。
1日の活動量が増えれば、より多くのカロリーが消費されます。代謝が向上し、体重管理にも役立つ可能性があります。加齢とともに基礎代謝が低下し、体重が増加しやすい傾向にある方にとっては朗報です。
DNA修復の促進
私たちの体は約60兆個の細胞で構成され、常に分裂と再生を繰り返しています。加齢や紫外線、ストレス、喫煙などの影響によってDNAが損傷することがあります。DNAが損傷すると、細胞が正常に機能しなくなり、老化促進やがんや生活習慣病などのさまざまな病気を引き起こす可能性があります。
NMNは、DNAの修復を促進する酵素であるサーチュイン遺伝子を活性化すると考えられています。サーチュイン遺伝子は「長寿遺伝子」や「抗老化遺伝子」とも呼ばれ、老化や寿命に関連するさまざまなプロセスに関与しています。
NMNによりサーチュイン遺伝子が活性化されることで、DNAの修復プロセスをサポートし、細胞の健康維持に役立つ可能性があります。健康をサポートする効果が期待でき、視力や認知機能の健康維持、心血管や代謝のサポートにつながる可能性が示唆されています。
抗炎症作用
炎症は、体を守るための重要な反応です。怪我をしたときに患部が赤く腫れたり、熱を持ったりするのは、炎症反応によるものです。炎症が慢性化すると、さまざまな病気の原因となる可能性があります。動脈硬化やアルツハイマー病、関節リウマチなどは、慢性炎症が関与していると考えられています。
NMNは、炎症を引き起こす物質であるNF-κBの働きを抑えることで、抗炎症作用を発揮すると考えられています。抗炎症作用によって、健康な関節や肌のサポートが期待される成分として注目されています。
NMNの知っておくべき注意点と安全性
NMNは、安全性についてはまだ十分に解明されていない部分もあります。安全にNMNを摂取するためには、以下の起こりうるリスクや副作用について、正しく理解しておくことが大切です。
- 肝機能への影響
- 軽度の消化器症状(吐き気、下痢など)
- 睡眠障害
- 皮膚への影響(発疹、かゆみなど)
- 薬物相互作用の可能性
肝機能への影響
NMNは肝臓で代謝されます。過剰に摂取すると肝臓に負担がかかり、肝機能の数値に影響を与える可能性があります。健康な方であれば、一時的な数値の変化は自然と元に戻る場合が多いですが、もともと肝機能が弱い方や肝臓の病気を抱えている方は特に注意が必要です。
定期的な健康診断で肝機能の数値をチェックし、NMN摂取後に数値に大きな変化が見られた場合は、速やかに医師に相談してください。
軽度の消化器症状(吐き気、下痢など)
NMNを一度に大量に摂取すると、吐き気や下痢といった軽度の消化器症状が現れる場合があります。NMNが胃腸で消化吸収される過程での、胃腸への刺激が原因と考えられています。少量ずつ摂取したり、食後に摂取したりなど、工夫することで症状を軽減できる可能性があります。
症状が続くようであれば、摂取を一時的に中断し、医師や薬剤師に相談してください。
睡眠障害
NMNは、睡眠の質に影響を与える可能性があるという報告もあります。寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めやすくなったりするといった症状が現れることがあります。NMNは体内でエネルギー産生に関与しているため、摂取するタイミングによっては、睡眠への影響が生じる可能性があります。
就寝直前の摂取は避け、夜にNMNを摂取する場合は、就寝の2〜3時間前までに摂取するように心がけましょう。睡眠障害が改善しない場合は、摂取を控えるか、医師に相談してください。
皮膚への影響(発疹、かゆみなど)
NMNを摂取することで、まれに皮膚に発疹やかゆみなどのアレルギー反応が現れることがあります。NMNに対するアレルギー反応と考えられており、体質によって発症するかどうかが異なります。
NMN摂取後に皮膚に異常が現れた場合は、ただちに摂取を中止し、医師の診察を受けてください。過去にサプリメントや特定の食品でアレルギー反応を起こした経験のある方は、NMN摂取前に医師に相談することをおすすめします。
薬物相互作用の可能性
NMNは、一部の薬剤と相互作用を起こす可能性があります。血液をサラサラにする薬(抗凝固薬)や、糖尿病の薬を服用している方は注意が必要です。NMNと薬剤の相互作用により、薬の効果が強まったり弱まったりする可能性があり、予期せぬ副作用が現れる可能性も否定できません。
現時点では、ヒトにおけるNMNの長期的な安全性データは限られています。経口摂取による重篤な副作用は報告されていませんが、今後の研究で新たな知見が得られる可能性もあります。必ず医師や薬剤師に相談し、服用中の薬との相互作用について確認してください。
NMNサプリメントの選び方
NMNサプリメントは、さまざまなメーカーから販売されており、品質や価格もさまざまです。効果を実感し、安全に摂取するためには、ご自身に合った製品を選ぶことが大切です。数あるサプリメントの中から、最適なNMNサプリメントを選ぶためのポイントを、医師の視点も交えながら解説します。
信頼できるメーカーを選ぶ
製品の品質管理を徹底し、高純度かつ安全なNMNサプリメントを提供している信頼できるメーカーを選ぶことが重要です。厚生労働省が定めるGMP(Good Manufacturing Practice:適正製造規範)認定工場で製造されているかを確認しましょう。
製造工程や品質管理体制が厳格に定められており、製品の安全性や品質が保証されています。原材料の産地や品質検査の情報が開示されているかどうかも重要なポイントです。
「国内GMP認定工場で製造」「原材料の産地や検査結果を公開しています」といった情報が掲載されているメーカーであれば、安心して選択できます。万が一の際に備え、問い合わせ窓口が設置されているかどうかも確認しておくと安心です。
適切なNMN含有量を確認する
NMNサプリメントを選ぶ際には、含有量も重要なポイントです。NMNの1日の摂取量の目安は、研究によって多少異なりますが、一般的には150〜300mg程度とされています。慶應義塾大学の研究では、特定の条件下で安全性が評価された報告もありますが、個人差があるため、医師と相談のうえ適切な摂取量を決めることが重要です。
サプリメントによってNMNの含有量は異なるため、1日の摂取量を満たすために必要なカプセル数や錠数を必ず確認しましょう。過剰摂取は肝臓への負担となる可能性があるため、含有量が多すぎるサプリメントは避け、年齢や体質、目的に合わせて、適切な含有量の製品を選びましょう。少量から始め、徐々に増やしていくことをおすすめします。
NMNの適量は、年齢や体の状態によって異なります。適切な摂取量を知ることで、安全かつ効果的に活用することができます。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
>>NMN摂取量の目安は?年齢別の適量と期待できる効果を解説
純度と品質管理をチェックする
NMNサプリメントの効果と安全性を確保するためには、純度と品質管理が重要です。純度が低い製品には、不純物が含まれている可能性があり、健康に悪影響を与える可能性も否定できません。「純度99%以上」の、なるべく純度の高いものを選びましょう。
品質管理については、GMP認定工場で製造されているか、第三者機関による品質検査が行われているかなど、メーカーのWebサイトなどで確認しましょう。第三者機関による検査は、メーカー以外の独立した機関が品質をチェックしているため、より客観的な評価を得ることができます。
価格と効果のバランスを考える
NMNは比較的高価な成分です。価格だけで判断するのではなく、含有量や純度、メーカーの信頼性などを総合的に考慮して、価格と効果のバランスが良い製品を選びましょう。
他の成分との組み合わせに注意する
NMN以外の成分が配合されている製品もあります。NMNの効果を高めることを目的として配合されている場合もありますが、相互作用によって予期せぬ影響が生じる可能性も否定できません。
他の成分との組み合わせに注意し、配合されている成分と効果や安全性について、しっかりと確認することが重要です。心配な場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。
以下の記事では、NMNと他のアンチエイジングサプリの比較や、飲むタイミングなどについて解説しています。摂取を検討している方は、あわせてご確認ください。
>>NMNとは?話題の若返り成分の効果と正しい選び方完全ガイド
まとめ
NMNは若返り効果が期待される一方で、リスクや副作用についても考慮する必要があります。肝機能への影響や軽度の消化器症状、睡眠障害、皮膚への影響、薬物相互作用の可能性などが報告されています。サプリメントを選ぶ際は、信頼できるメーカーを選び、適切な含有量や純度と品質管理、価格と効果のバランス、配合されている成分にも注意を払いましょう。
初めてNMNサプリメントを試す方は、少量から始め、体調の変化に気をつけながら、ご自身の体質に合った製品を見つけることが大切です。疑問や不安があれば、医師や薬剤師に相談し、安心してNMNの恩恵を受けられるようにしましょう。
NMNサプリには「本当に効果があるのか?」という疑問の声もあります。実際の研究結果や科学的な視点から、NMNの期待と現実について詳しく解説していますので、気になる方は以下の記事をご覧ください。
>>NMNサプリは効果なし?期待と現実のギャップを科学的に解明
参考文献
- Harshani Nadeeshani, Jinyao Li, Tianlei Ying, Baohong Zhang, Jun Lu. Nicotinamide mononucleotide (NMN) as an anti-aging health product – Promises and safety concerns. J Adv Res, 2021, 37, p.267-278.
- Shin-ichiro Imai, Leonard Guarente. NAD+ and sirtuins in aging and disease. Trends Cell Biol, 2014, 24(8), p.464-471.
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- 中谷 英章,日本人の健康成人男性におけるニコチンアミドモノヌクレオチド経口投与による安全性の確認試験,日本臨床薬理学会学術総会抄録集,2021,2-P-M-2,42(0)