高濃度ビタミンCはなぜ効果的?ビタミンCとの違いやメリット・デメリットを解説

2024.12.26 更新

ビタミンCを毎日摂取していても、効果を実感できないと感じている方もいませんか?経口摂取したビタミンCは、体内に吸収される量が限られています。つまり、摂取しても大部分が無駄になってしまう可能性があるのです。

そこで注目されているのが「高濃度ビタミンC点滴」です。点滴で直接血管に注入することで、ほぼ100%の吸収率を実現し、経口摂取では到底到達できない血中濃度を可能にします。高濃度ビタミンC点滴と通常のビタミンC摂取の違いを徹底的に比較します。記事を読めば、効果の違いはもちろん、費用や時間、気になる副作用までわかります。

以下の記事では、ビタミンCの適正量から知っておきたい栄養学についてまで解説しています。サプリメント選びのポイントや具体的な摂取方法を紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
>>ビタミンCは摂りすぎても大丈夫?誰もが知っておきたい栄養学の知識

高濃度ビタミンC点滴とビタミンCの違い3選

高濃度ビタミンC点滴とビタミンCの違いとして、以下の3つを解説します。

  • 投与方法と吸収率
  • 効果
  • 費用と時間

投与方法と吸収率

高濃度ビタミンC点滴と通常のビタミンCの最も大きな違いは、体への入り方、つまり投与方法です。通常のビタミンCは、オレンジやレモンなどの食べ物、あるいはサプリメントの形で口から摂取します。口からの摂取は「経口摂取」と呼ばれ、消化管(胃や腸)で吸収されます。

高濃度ビタミンC点滴は、血管に直接ビタミンCを注入する「静脈内投与」です。投与方法の違いが、吸収率に大きな差を生み出します。経口摂取の場合、ビタミンCは消化管で吸収される際に、さまざまな要因によって吸収率が変動します。一度に大量のビタミンCを摂取しても、消化管の吸収能力には限界があるため、余剰分は尿中に排泄されてしまいます。仮に1000mgのビタミンCを摂取しても、実際に体内に吸収されるのは1000mgの半分以下、場合によっては200mg程度になってしまうこともあります。

点滴の場合は、ビタミンCが直接血管に入るため、ほぼ100%吸収されます。高濃度ビタミンC点滴では、通常のビタミンCサプリメントの数十倍、例えば25g(25000mg)ものビタミンCを体内に取り込むことができ、血中濃度を急激に高めることが可能です。

効果

吸収されるビタミンCの量が違えば、効果にも違いが現れます。通常のビタミンC摂取は、日々の健康維持を目的とした「予防医学」的な役割を果たします。風邪の予防や疲労回復、肌の健康維持、そして抗酸化作用による細胞の老化防止などに効果が期待できます

高濃度ビタミンC点滴は、通常のビタミンC摂取では得られないさまざまな効果が期待できます。美白効果やシミ・そばかすの改善、ニキビの改善といった美容効果に加え、免疫力の向上、更にはがん治療の補助といった効果も研究されています。

費用と時間の比較

費用と時間の比較について、通常のビタミンCサプリメントは、数百〜数千円で購入でき、毎日手軽に摂取できます。1日数分の習慣で済むので、続けやすいというメリットがあります。

高濃度ビタミンC点滴は、1回あたり数千円〜数万円程度かかります。点滴を受けるためには病院へ行き、30分~1時間程度の時間を要します。費用は高くなりますが、即効性があり、高い効果が期待できる点がメリットです。ご自身の健康状態や目的に合わせて、医師と相談しながら方法を選択しましょう。

高濃度ビタミンC点滴のメリット

高濃度ビタミンC点滴のメリットは以下のとおりです。

  • 美肌効果(シミ・シワ・ニキビ改善など)
  • 免疫力向上と疲労回復効果
  • がん治療補助としての可能性
  • その他の効果(抗炎症作用など)

効果には個人差があり、特定の効果を保証するものではありません。

美肌効果(シミ・シワ・ニキビ改善など)

高濃度ビタミンC点滴は、美白効果が高いことで知られています。ビタミンCはメラニン色素の生成を抑える働きがあるため、シミやシワ、そばかすの予防・改善に効果的です。コラーゲンの生成を促進する作用もあり、肌にハリと弾力を与え、若々しい印象をもたらします。

ビタミンCは、肌の老化を促進する活性酸素を除去する抗酸化作用も持っています。活性酸素は、紫外線や大気汚染などの外的要因だけでなく、体内の代謝過程でも発生し、細胞を傷つけ、老化を促進します。ビタミンCは活性酸素を中和し、細胞のダメージを軽減することで、老化のサインであるシワやたるみを防ぎます。ニキビなどの炎症を抑える効果も期待できます。

免疫力向上と疲労回復効果

ビタミンCは、免疫細胞の働きを活性化させるため、免疫力向上に大きく貢献します。免疫力が高まると、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりにくくなります。疲労の原因となる物質の分解を促進する働きもあるため、疲労回復効果も期待できます。

ビタミンCは、白血球の一種であるリンパ球の働きを強化し、体内に侵入したウイルスや細菌を攻撃する能力を高めます。ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑制する効果も報告されており、ストレスによる免疫力の低下を防ぐ効果も期待できます。

がん治療補助としての可能性

高濃度ビタミンC点滴は、がん治療の補助療法としても研究が進められています。高濃度のビタミンCには、特定の種類のがん細胞を攻撃する働きがあることが示唆されており、がんの進行を抑制したり、再発を予防したりする効果が期待されています。

ただし、高濃度ビタミンC点滴療法は、標準的ながん治療を代替するものではなく、あくまで補助的な役割を果たすものです。がん治療に関しては、担当の医師とよく相談し、適切な治療法を選択することが重要です。

その他の効果(抗炎症作用など)

高濃度ビタミンC点滴には、抗炎症作用もあるため、アトピー性皮膚炎や関節リウマチなどの炎症性疾患の症状緩和にも役立つ可能性があります。血管を健康に保つ働きも持ち、動脈硬化などの予防にもつながります。

ビタミンCの抗炎症作用は、炎症を引き起こす物質であるヒスタミンの放出を抑制することで発揮されます。また、血管内皮細胞を保護し、血管の機能を維持することで、動脈硬化などの血管疾患を予防する効果も期待できます。

高濃度ビタミンC点滴のデメリット

高濃度ビタミンC点滴は、さまざまな効果が期待できる一方で、デメリットも存在します。メリットとデメリットの両方を理解したうえで、ご自身の体質や生活習慣に合っているかを判断することが大切です。

副作用がある

高濃度ビタミンC点滴には、稀ではありますが、いくつかの副作用が報告されています。それぞれまとめていきます。

低血糖

ビタミンCは糖の代謝に関与しています。高濃度で投与すると、一時的に血糖値が低下する可能性があります。空腹時の点滴や、普段から糖質制限をしている場合に起こりやすいです。症状は、ふらつき、冷や汗、動悸、脱力感などが挙げられます。

点滴後に低血糖の症状が現れた場合は、すぐに糖分を摂取しましょう。ブドウ糖の錠剤やジュース、飴などを持ち歩くことをおすすめします。

尿路結石

ビタミンCは体内で代謝されるとシュウ酸という物質に変化し、尿中に排泄されます。高濃度のビタミンCを摂取すると、シュウ酸の量が増加し、尿路結石のリスクがわずかに高まる可能性があるという報告もあります。尿路結石は、激しい腹痛や血尿、発熱などの症状を引き起こします。

水分をたくさん摂ることで、尿路結石の予防につながります。過去に尿路結石の既往がある方は、点滴前に医師に相談することが重要です。

その他の副作用

 吐き気、頭痛、めまい、注射部位の痛み、発赤、腫脹などの副作用は、比較的軽度で、一時的なものが多いです。症状が続く場合は、医師に相談しましょう。

禁忌事項がある

高濃度ビタミンC点滴は、すべての人に適しているわけではありません。腎機能が低下している人は、ビタミンCが体内に蓄積しやすくなり、副作用のリスクが高まります。G6PD欠損症の人も高濃度ビタミンC点滴は受けられません。

G6PD欠損症は、赤血球が壊れやすくなる遺伝性の病気です。高濃度のビタミンCは、G6PD欠損症の人において溶血性貧血を引き起こす可能性があります。点滴前に必ずG6PD欠損症の有無を確認する必要があります。

高濃度ビタミンC点滴を受けるうえでの注意点

高濃度ビタミンC点滴を受ける際には、いくつかの注意点があります。点滴を受ける前に、医師にアレルギーの有無や現在服用している薬、過去の病気などを伝えましょう。副作用が出た場合は、すぐに医師に相談することが重要です。点滴中は、気分が悪くなった場合はすぐに看護師に伝えるようにしましょう。

ビタミンCの効果や副作用、費用、時間などを理解したうえで、医師とよく相談し、納得してから治療を受けましょう。治療を受ける際には、信頼できる医療機関を選び、医師の指示に従うことが大切です。

まとめ

高濃度ビタミンC点滴療法は、美肌効果、免疫力向上、疲労回復効果など、さまざまなメリットが期待できる治療法です。通常のビタミンC摂取では得られない高い効果を、短期間で実感できるのが魅力です。副作用や禁忌事項なども存在します。自分に合った治療法かどうか、メリット・デメリットをよく理解したうえで、医師と相談することが大切です。

高濃度ビタミンC点滴療法は、美容や健康増進に役立つ可能性を秘めていますが、適切な知識と理解を持って治療に臨むことが重要です。疑問や不安があれば、気軽に医師に相談し、納得したうえで治療を始めましょう

以下の記事では、ビタミンCの最適な摂取量に関してまとめています。闇雲に大量に摂取すれば良いわけではないため、ぜひチェックしておきましょう。
>>ビタミンCの最適摂取量とは?健康維持と美肌効果を引き出す方法

参考文献

Sebastian J Padayatty, Arie Katz, Yaohui Wang, Peter Eck, Oran Kwon, Je-Hyuk Lee, Shenglin Chen, Christopher Corpe, Anand Dutta, Sudhir K Dutta, Mark Levine. Vitamin C as an antioxidant: evaluation of its role in disease prevention. J Am Coll Nutr, 2003, 22, 1, p.18-35