毎日の食事で十分なビタミンCを摂取できているか知っていますか?ビタミンCは美肌効果や風邪予防、免疫力向上など、健康と美容に欠かせない栄養素です。しかし、適切な摂取量や効果的な摂り方を知らないと、その恩恵を十分に受けることができません。
この記事では、ビタミンCの最適な摂取量や年代別の推奨量、摂取方法、過剰摂取の注意点などについて詳しく解説します。記事を読んでビタミンCを正しく摂取し、より健康的で美しい毎日を手に入れましょう。
目次
ビタミンCの推奨摂取量と摂取方法
ビタミンCは、健康維持に欠かせない栄養素です。風邪予防や美肌効果、疲労回復など、さまざまな効果が期待されています。しかし、私たちの体内ではビタミンCを生成できないため、食べ物やサプリメントから摂取する必要があります。
この章では、ビタミンCをどれくらい摂取すれば良いのか、そしてどのように摂取するのが効果的なのかをわかりやすく解説します。
各年代別の推奨摂取量と上限量
必要なビタミンCの摂取量は、年齢によって異なります。厚生労働省が発表した「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、15歳以上の男女では1日100mgのビタミンC摂取が推奨されています。成長期の子どもは大人よりも多くのビタミンCを必要とし、年齢を重ねるごとに必要な量は減少していきます。
以下の表に年代別の推奨摂取量と摂取上限量をまとめます。
年代 | 推奨摂取量(mg) | 上限量(mg) |
1歳未満 | 40 | – |
1~3歳 | 45 | – |
4~6歳 | 50 | – |
7~9歳 | 60 | – |
10~12歳 | 70 | – |
13~15歳 | 80 | – |
16~18歳 | 100 | – |
19~29歳 | 100 | 2,000 |
30~49歳 | 100 | 2,000 |
50~69歳 | 100 | 2,000 |
70歳以上 | 100 | 2,000 |
妊娠中 | 110 | – |
授乳中 | 145 | – |
上限量は、摂りすぎても健康に問題がないとされる目安です。しかし、過剰に摂取すると下痢や吐き気などの症状が現れることがあるので、注意が必要です。特に、持病がある方は医師に相談のうえ、適切な摂取量を決定しましょう。
食事によるビタミンCの摂取
ビタミンCは、さまざまな野菜や果物に含まれています。例えば、朝食にキウイ1個、昼食にピーマンとブロッコリーを使った炒め物、夕食にいちごを数粒食べれば、1日に必要な100mgのビタミンCを十分に摂取できます。
ビタミンCを含む代表的な食物は下表を参照してください。
種別 | 食物 |
野菜 | ピーマン、パプリカ、ブロッコリー、キャベツ、ほうれん草、トマト、芽キャベツなど |
果物 | キウイ、いちご、レモン、オレンジ、グレープフルーツ、アセロラなど |
芋類 | じゃがいも、サツマイモなど |
ビタミンCは水溶性で熱に弱い性質を持つため、生で食べられる野菜や果物を積極的に摂り入れると効率的です。調理する際は、加熱時間を短くしたり、蒸したりすることでビタミンCの損失を最小限に抑えられます。さまざまな食品からバランスよくビタミンCを摂取するように心がけましょう。
点滴療法によるビタミンCの摂取
ビタミンC点滴療法は、高濃度のビタミンCを直接血管内に投与する方法です。美肌効果や疲労回復効果などを期待して行われることがあります。
自由診療のため保険適用外となり、費用はクリニックによって異なりますが、1回5,000~20,000円程度が相場です。ビタミンC点滴療法は、高濃度のビタミンCを短時間で体内に届けられるため、即効性を感じやすいというメリットがあります。しかし、効果の持続性は短く、定期的に繰り返す必要があります。点滴による副作用(血管痛、内出血など)のリスクも存在します。点滴療法を受ける場合は、メリット・デメリットをよく理解し、信頼できる医療機関を選ぶことが重要です。
当院では、高濃度ビタミンC点滴療法を採用しています。高濃度ビタミンCはがん細胞を破壊して正常な細胞は傷つけない、副作用の無いがん治療として注目されています。抗がん治療と併用することで効果を上げることも報告されています。10gあたり8,800円(税込)で受けられるので、お気軽にご相談ください。
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ビタミンCの効果と健康や肌への影響
ビタミンCは、私たちの体のさまざまな機能に欠かせない栄養素です。ビタミンCの効果は主に以下の3つです。
- 免疫力を高める
- お肌をきれいに保つ
- ストレスを軽減する
具体的な例を交えながら、詳しく見ていきましょう。
風邪予防・免疫力向上効果
ビタミンCは、ウイルスや細菌などの病原体を攻撃し、排除する免疫細胞の働きを活性化させることで、風邪などの感染症への抵抗力を高めます。結果、風邪の予防や症状の軽減につながるのです。研究でも、ビタミンCの摂取によって、風邪の罹患期間を短縮できたという報告があります。風邪をひきやすい方は、日頃からビタミンCを意識的に摂取しましょう。
美肌効果・抗酸化作用
ビタミンCは、美肌作りにも欠かせない栄養素です。コラーゲンの生成を促進し、肌のハリや弾力を保つ効果があります。コラーゲンは、肌の土台となるタンパク質で、加齢とともに減少していくため、ビタミンCを摂取することで、肌の老化を防ぐ効果が期待できます。
また、ビタミンCには抗酸化作用があります。紫外線やストレスなどによって体内で発生し、細胞を傷つける活性酸素を除去する働きがあり、シミやシワ、たるみなどの肌トラブルを防ぐ効果が期待できます。例えば日焼けは、紫外線によって肌に炎症が起こり、活性酸素が大量に発生した状態です。日焼け後にビタミンCを摂取することで、炎症を抑え、肌のダメージを修復する効果が期待できます。
ストレス軽減・疲労回復効果
ビタミンCは、ストレスホルモンの分泌を抑える働きがあるため、ストレス軽減効果が期待できます。さらに、疲労回復効果もあります。疲労の原因物質である乳酸の分解を促進し、エネルギー産生を助ける働きがあるため、疲れを感じやすい方にもおすすめです。ビタミンCをこまめに摂取することで日中のパフォーマンス向上が期待できます。
がん予防効果に関する最新研究
ビタミンCとがん予防の関係については、現在も盛んに研究が行われています。現時点では、ビタミンCが直接的にがんを予防するという明確なエビデンスはありませんが、ビタミンCの抗酸化作用や免疫力向上効果が、がん予防に間接的に寄与する可能性が示唆されています。
がんは、細胞の遺伝子が傷つき、異常増殖することで発生します。活性酸素は、この遺伝子損傷を引き起こす原因の一つと考えられています。ビタミンCの抗酸化作用は、活性酸素による細胞へのダメージを軽減し、がんの発症リスクを抑制する可能性があるのです。
生活習慣病予防への効果
ビタミンCは、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の予防にも効果が期待されています。ビタミンCには、血管を健康に保つ働きがあるため、血圧の上昇を抑える効果が期待できます。また、血糖値の上昇を抑えたり、インスリンの働きを良くしたりする効果も期待できるため、糖尿病の予防効果がある可能性もあります。
摂取不足による欠乏症(壊血病など)
ビタミンCの摂取量が不足すると、倦怠感や疲労感、免疫力の低下など、さまざまな症状が現れます。重度のビタミンC欠乏症は「壊血病」と呼ばれ、以下の症状が現れやすいです。
- 血管がもろくなり出血しやすくなる
- 歯ぐきが腫れて出血する
- 傷の治りが遅くなる
現代社会では壊血病はまれな疾患ですが、偏った食生活や特定の疾患によって、ビタミンCが不足する可能性があります。
ビタミンCの過剰摂取リスク
ビタミンCは健康に良いイメージが強いものの、過剰摂取によるリスクも存在します。通常、余分なビタミンCは尿として排出されるため、健康な方であれば多少摂りすぎても大きな問題になることはまれです。しかし、個人差があるため、不調を感じた場合は摂取を控えることを推奨します。
消化器系症状(下痢、吐き気など)リスク
ビタミンCの過剰摂取で最も見られる副作用は、下痢や吐き気、胃のむかつきや腹痛といった消化器系の症状です。1日に2,000mg以上のビタミンCを摂取すると、症状が現れやすくなります。特に、空腹時に大量に摂取すると、胃腸への刺激が強くなり、不調を感じやすいため注意が必要です。
腎結石リスク
ビタミンCの過剰摂取は、尿中のシュウ酸濃度を上昇させ、腎結石のリスクを高める可能性が指摘されています。腎結石は、尿中のさまざまな成分が結晶化して結石となり、尿路に詰まることで激しい痛みを引き起こす疾患です。
ビタミンCは、体内でシュウ酸という物質に変化する割合が増加し、尿中に排出されます。このシュウ酸がカルシウムと結合して結石を形成しやすくなるのです。
腎結石予防には、こまめな水分補給が大切です。水分を十分に摂ることで尿量が増え、シュウ酸濃度が薄まり、結石の形成を抑制できます。また、バランスの取れた食生活を心がけ、シュウ酸を多く含む食品(ほうれん草、チョコレート、ナッツ類など)の過剰摂取を避けることも重要です。
鉄過剰症の悪化リスク
鉄過剰症の方はビタミンCが鉄の吸収を促進するため、症状が悪化する可能性があります。鉄過剰症は、体内に鉄が過剰に蓄積することで、肝臓や心臓などの臓器に障害を引き起こす疾患です。ビタミンCは鉄の吸収を助けるため、鉄過剰症の方は摂取量に注意が必要です。
サプリメントや薬の服用時のリスク
サプリメントを服用する際は、必ず医師や薬剤師に相談することが重要です。自己判断で服用すると、予期せぬ副作用や薬効の減弱につながる可能性があります。
例えば、ワルファリンなどの抗凝固薬を服用している場合、ビタミンCの摂取によって薬の効果が弱まる可能性があります。抗凝固薬は血液をサラサラにする薬ですが、ビタミンCとの相互作用で効果が減弱してしまうと、血栓形成のリスクが高まる可能性があります。また、一部の抗がん剤の効果にも影響を与える可能性があります。
過剰摂取による副作用を感じた場合、摂取量を減らすか一時的に摂取を中止しましょう。症状が続く場合は自己判断せず、医療機関を受診してください。
まとめ
ビタミンCは健康維持に欠かせない栄養素であり、15歳以上の男女では1日100mgの摂取が推奨されています。野菜や果物から摂取でき、キウイ1個、ピーマンとブロッコリーの炒め物、いちご数粒で1日の必要量を満たせます。
バランスの取れた食事を心がけ、必要に応じてサプリメントも活用しましょう。過剰摂取には注意が必要です。まずは、明日の食事にビタミンCが豊富な食材を1品加えてみてください。
ビタミンCはシミにも効果的です。シミ改善の基本について以下の記事で解説しているため、ぜひチェックしましょう。
>>【医師監修】ビタミンCはシミに効果的?シミ改善の基本を徹底解説
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