再生医療の美容効果とは?種類や治療法、メリット・デメリットを解説

2025.02.01 更新

鏡を見るたび、増える肌の悩みにため息をついていませんか? 私たちの悩みに細胞レベルでアプローチする革新的な治療法が「再生医療」です。 再生医療は、私たちの身体にも備わる「再生力」を利用した最先端技術です。再生医療はさまざまな肌の悩みに対し、自身の細胞を使って再生させることで、根本的な改善を目指せる可能性を秘めています。

この記事では、再生医療で期待できる美容効果の種類や治療法、メリット・デメリットを詳しく解説します。この記事を読むことで、再生医療の可能性を理解し、肌悩みの解決につながる選択肢が広がり、より明るい未来を目指せます。

以下の記事では再生医療について、各治療法の費用も解説していますので、合わせてご確認ください。
>>再生医療とは?メリット・デメリットや費用も解説

再生医療で期待できる美容効果3選

再生医療とは、私たちの体が本来持っている「自然治癒力」を最大限に活かした治療法です。再生医療で期待できる美容効果は以下のとおりです。

  • シワ・たるみの改善
  • シミ・くすみの改善
  • ニキビ跡・毛穴の改善

シワ・たるみの改善

若々しい肌のハリや弾力は、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸によって支えられています。しかし、成分は加齢とともに減少します。その結果、肌の土台が崩れ、皮膚が垂れ下がり、シワやたるみが生じます。再生医療は、減少した成分を補うことで、肌の土台から再構築していきます。

真皮線維芽細胞療法

患者さま自身の皮膚から採取した線維芽細胞を培養して増やし、再び肌に注入します。線維芽細胞はコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸を作り出す細胞のため、注入することで成分が増加し、肌の再生が促されます。

当院では「皮膚の自然治癒力」を利用して肌の再生を図る治療法として、「ダーマペン4」を導入しています。 詳しいメカニズムや治療の流れを解説していますので、ぜひご覧ください。
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PRP皮膚再生療法

患者さん自身の血液から抽出した多血小板血漿(PRP)を注入します。PRPには細胞の成長を促す成長因子が豊富に含まれており、線維芽細胞の働きを活性化することで、コラーゲンやエラスチンの生成を促進します。

ヒト線維芽細胞由来の再生医療スキンケアテクノロジー

成長因子とエクソソームを活用し、皮膚の再生と若返りを促進します。エクソソームは、光老化による深いシワやたるみの軽減に寄与する可能性が示唆されています。

さらに、美容処置後の回復を早め、ダウンタイムを短縮するだけでなく、皮膚の質を向上させることで、治療全体の効果を高めることが期待できます。

シミ・くすみの改善

シミやくすみは、メラニン色素の過剰生成・蓄積によって発生します。紫外線はメラニン生成の主な原因の一つです。本来、メラニンは紫外線から肌を守る防御反応として生成されますが、過度な紫外線曝露により過剰生成されると、シミやくすみの原因になります。

再生医療は、肌のターンオーバー(新陳代謝)を正常化し、メラニンの排出を促すことでシミやくすみの改善に寄与します。さらに、真皮線維芽細胞療法にはメラニンの生成を抑制する働きがあるため、継続的なシミ・くすみの改善効果が期待できます。

ニキビ跡・毛穴の改善

ニキビ跡や毛穴の開きは、炎症や皮脂の過剰分泌などが主な原因で発生します。特に炎症が強い場合、皮膚組織が損傷し、ニキビ跡として残ることがあります。

再生医療では、肌の炎症を抑えながら、ダメージを受けた組織の修復を促進することで、ニキビ跡や毛穴の改善を目指します。中でも W-PRP(White blood cell-rich Platelet-Rich Plasma)療法 は、PRP(多血小板血漿) に加えて白血球を含む血漿を使用する治療法です。

白血球には炎症を抑える作用や組織の修復を促進する働きがあり、ニキビ跡や毛穴の改善に高い効果が期待されています。

再生医療の種類

再生医療の主な種類は以下のとおりです。

  • 脂肪由来幹細胞治療
  • 血液由来幹細胞治療
  • 幹細胞培養上清液療法
  • 幹細胞コスメ

特徴を理解し、ご自身に合った治療法を見つけられるよう医師とよく相談しましょう。

脂肪由来幹細胞治療

脂肪由来幹細胞治療は、お腹やお尻など、皮下脂肪の多い部分から脂肪組織を採取し、幹細胞を分離・培養して、再び体内に戻す治療法です。脂肪組織は幹細胞が豊富に含まれており、比較的容易に多くの幹細胞を採取できます。採取した脂肪組織から幹細胞を抽出する際には、酵素処理や遠心分離といった手法が用いられます

幹細胞は、多分化能(さまざまな細胞に変化する能力)を持ち、損傷した組織の修復や新しい血管の生成を促進する効果が期待されています。美容分野では、シワやたるみの改善、肌のハリや弾力の向上など、エイジングケアを目的とした治療に用いられています。

脂肪由来幹細胞は、血管を新しく作るタンパク質(血管新生因子)を分泌し、血管新生を促進する可能性があります。そのため、慢性的な足の潰瘍や手術後の傷など、従来の治療では治りにくい症例に対して有効と考えられています。

血液由来幹細胞治療

血液由来幹細胞治療は、血液中に含まれる幹細胞を利用した治療法です。血液から幹細胞を採取する方法はいくつかありますが、中でもPRP療法が代表的です。

PRP療法は、患者さん自身の血液を採取し、遠心分離機にかけて血小板が多く含まれる血漿(PRP:Platelet-Rich Plasma=多血小板血漿)を抽出し、気になる部分に注入します。

血小板には、細胞の成長や修復を促す成長因子が豊富に含まれているため、肌の再生や組織の修復を促進する効果が期待できます。

美容皮膚科では、肌の若返り、シワやたるみの改善、ニキビ跡の治療などに用いられています。治療時間は比較的短く、ダウンタイムも少ないため、日常生活への影響が少なく、気軽に受けられる治療法として人気です。

幹細胞培養上清液療法

幹細胞培養上清液療法は、幹細胞を培養する際に得られる上澄み液を活用する治療法です。成長因子やサイトカイン、エクソソームなどが豊富に含まれており、細胞の再生や修復を促します。

 

主な特徴は以下のとおりです。

  • 幹細胞移植と比べてリスクが低い(拒絶反応や腫瘍形成の可能性が少ない)
  • 美容・再生医療分野で注目(肌の若返りや発毛促進など)
  • 非侵襲的な治療が可能(点滴や注射による投与)

培養上清液は、乳歯歯髄・脂肪由来・臍帯由来などの幹細胞から抽出されます。症状によっては、幹細胞治療に近い効果が期待できます。期待できる効果は以下のとおりです。

  • 肌の若返り・エイジングケア(シワ・たるみ・シミの改善)
  • 創傷治癒の促進(傷跡の修復・炎症軽減)
  • 発毛促進(薄毛や抜け毛の改善)

幹細胞コスメ

幹細胞コスメとは、幹細胞培養上清液を配合した化粧品のことです。幹細胞コスメに含まれる成長因子やサイトカインは、肌の細胞に働きかけ、コラーゲンやヒアルロン酸の産生を促進します。

また、ターンオーバー(肌の新陳代謝)を活性化することで、肌のハリ・弾力・潤いを向上させる効果が期待できます。幹細胞コスメの効果は、成分の種類や濃度、肌質によって大きく異なります。そのため、効果を実感するには継続的な使用が重要です。

 

再生医療のメリット・デメリット

再生医療は根本的な改善を目指せる点に魅力があり、多くのメリットがあります。費用や効果の持続期間など、デメリットも存在します。メリットとデメリットを理解したうえで、ご自身に合った治療法かどうかを判断することが重要です。

メリット:自然な仕上がり、ダウンタイムが短い

再生医療のメリットは、大きく分けて以下の3つです。

  • 自然な仕上がり
    人工物を使った治療では、どうしても人工物特有の質感が出てしまい、注入した部分が周囲の組織となじまず、不自然な仕上がりになってしまうことがあります。再生医療では、ご自身の肌や頭皮と調和した形で再生が進むため、より自然な仕上がりになります。
  • ダウンタイムが短い
    手術などの侵襲的な治療法では、腫れや痛み、内出血などが長引くことがありますが、再生医療では、治療の種類によってはダウンタイムが短いこともメリットです。傷の治癒プロセス(炎症細胞、線維芽細胞、角化細胞、内皮細胞の相互作用)を再生医療が促進するためです。
  • 効果の持続性が高い
    再生医療は、細胞レベルで肌や頭皮の再生を促すため、効果が持続しやすい傾向にあります。ヒト線維芽細胞条件培地(HFCM)は、成長因子とエクソソームを含むため、皮膚の老化の兆候を軽減し、長期的な効果が期待できます。

デメリット:効果の持続期間、費用

再生医療のデメリットは、主に以下の2つです。

  • 効果の持続期間
    効果の持続期間は、治療の種類や個人差、生活習慣などによって異なります。必ずしも永続的な効果が得られるとは限らないため、定期的なメンテナンスが必要になる場合もあります。効果の持続期間については、担当医とよくご相談ください。
  • 費用
    再生医療は、高度な技術と設備を必要とするため、他の美容治療に比べて費用が高額になる傾向があります。治療の内容やクリニックによって費用は大きく変わるため、事前にしっかりと確認することが大切です。

再生医療は、最新の技術を用いた高度な治療法です。デメリットも理解したうえで、医師と相談し、治療を受けるかどうか判断しましょう。

以下の記事では、再生医療のデメリットやリスクに焦点を当てて解説をしていますので、合わせてご覧ください。
>>再生医療のデメリットとは?知っておきたいリスクと注意点

再生医療を受けるうえでの注意点

再生医療は、自分の細胞を利用して組織の修復や機能回復を目指す、最先端の医療技術です。効果や安全性、費用など、さまざまな側面をよく理解したうえで、ご自身の状況に合った治療法を選択することが大切です。

クリニック選びのポイント

再生医療は高度な技術と設備を必要とする治療のため、クリニック選びは慎重に行う必要があります。信頼できるクリニックを見つけるためには、以下のポイントをチェックしましょう。

  • 再生医療等安全性確保法にもとづく認定を受けているか
  • 厚生労働省の認可を受けているか
  • 再生医療の専門医が在籍しているか
  • 最新の設備や技術を導入しているか
  • 治療内容や費用、リスクなどについて丁寧に説明してくれるか
  • 症例数や実績があるか
  • 費用体系が明確で追加費用が発生しないか

治療費用の内訳や支払い方法についても、事前に確認しておくと安心です。経験豊富な医師が在籍しているクリニックであれば、安心して治療を受けることができます。

最新の設備や技術を導入しているクリニックは、より効果的で安全な治療を提供できる可能性が高いです。アフターケアの内容や頻度についても事前に確認しましょう。

再生医療と他の美容治療との併用について

再生医療と他の美容治療を併用することで、治療効果の向上が期待できます。しかし、併用によるリスクもあるため、慎重に進めることが重要です。併用するメリットは以下のとおりです。

  • 治癒促進
    脂肪組織由来間葉系幹細胞(AD-MSCs)を用いることで、組織修復が促進され、回復期間が短縮される可能性がある
  • 美容効果の向上
    肌の再生能力が高まることで、シワやたるみの改善、肌質の向上などの相乗効果が期待できる
  • 痛みやダウンタイムの軽減
    炎症の抑制作用があるため、施術後の腫れや痛みを軽減する効果が期待できる

併用することでリスクが高まる可能性も考慮しなければなりません。レーザー治療やケミカルピーリングなどの施術と同時に行う場合、皮膚の炎症が強くなったり、ダメージが蓄積したりする可能性があります。

過剰な刺激によって肌トラブルを引き起こすリスクがあるため、肌の状態や治療内容を十分に確認した上で判断することが重要です。

安全に施術を進めるためには、信頼できる医師の診察を受け、それぞれの治療の適切なタイミングや間隔を考慮しましょう。医師の指示に従い、無理のないスケジュールで施術を進めることで、より安全かつ効果的な美容ケアを実現できます。

副作用・リスクと対処法

再生医療は、全くリスクがないわけではありません。治療部位の腫れや痛み、内出血、感染などが起こる可能性があります。感染症や脂肪塞栓症などの重篤な合併症が起こる可能性もあります。幹細胞培養上清液療法を用いた治療の場合、アレルギー反応や注射部位の反応などが起こる可能性があります。

効果には個人差があり、必ずしも期待通りの結果が得られるとは限りません。再生医療は、あくまで体の自然治癒力を助ける治療法です。副作用が生じた場合は、速やかにクリニックに相談しましょう。自己判断で市販薬を使用したり、治療を中断したりすることは避け、必ず医師の指示に従ってください。

まとめ

再生医療は、さまざまな悩みに対して根本的な改善を目指せる可能性を秘めた最先端の治療法です。自分の細胞を使って肌や頭皮を再生させることで「シワ・たるみ」「シミ・くすみ」「ニキビ跡・毛穴」などに効果があります。再生医療は体の自然治癒力を助ける治療法であり、じっくりと時間をかけて再生していくことを理解しましょう。

血液由来幹細胞治療やPRP療法などの種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。再生医療は即効性があるわけではなく、効果を実感するまでに時間がかかります。安全性や専門性、費用などを確認し、信頼できるクリニックを選びましょう。

参考文献