鏡を見るたびに、増えていくシミやシワに落胆したことはありませんか?年齢を重ねるにつれて、肌の悩みは尽きないものです。そんな中、最新の医療技術として注目を集めているのが「肌再生医療」です。
肌再生医療は、自分の細胞を利用して肌を若返らせる可能性を秘めています。本記事では、肌再生医療の効果のほかにも、メリット・デメリット、副作用について解説します。情報を正しく理解することで、最適な治療法を選択する手助けになります。
以下の記事では再生医療のメリット・デメリットをはじめ、各治療法の費用も解説していますので、合わせてご確認ください。
>>再生医療とは?メリット・デメリットや費用も解説
目次
肌再生医療で期待できる効果
肌再生医療は、自身の細胞の力を利用して肌を若返らせる最先端の治療法です。肌再生医療によって期待できる効果について、解説します。
シミ・シワ・たるみへの効果
シミやシワ、たるみは、加齢に伴う肌のハリや弾力の低下によって生じます。主に、肌の真皮層でコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などの美肌成分が減少することが原因です。コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などの成分は肌の構造を支える重要な要素であり、減少は肌の質感や外観に大きな影響を与えます。
肌再生医療では、患者さま自身の体から採取した細胞を培養し、再び肌に戻すことで成分の生成を促進します。肌再生医療は、肌の構造にアプローチすることで、より持続的な変化が期待できます。
ニキビ跡・傷跡の改善効果
思春期のニキビや怪我による傷跡は、長期間残ることがあり、多くの人にとって悩みの種となっています。肌再生医療は、ニキビ跡や傷跡の改善にも効果が期待できます。
肌再生医療によるニキビ跡や傷跡の改善メカニズムは以下のとおりです。
- 肌の再生を促進
- 凹んだニキビ跡を目立たなくする
- 赤く残った傷跡の色素沈着を改善
具体的な治療法としては、自己の皮膚細胞を培養して作成したシートを傷跡に移植する方法や、細胞培養上清液を利用した成長因子を含む溶液を注入する方法などがあります。治療法により、従来の治療では難しかった深いニキビ跡や傷跡の改善が可能になってきています。
毛穴の開き・くすみの改善効果
毛穴の開きやくすみは、加齢や紫外線、乾燥などによって肌のターンオーバー(細胞の新陳代謝)が乱れることで生じます。肌のターンオーバーが正常に行われないと、古い角質が毛穴に詰まりやすくなり、毛穴の開きやくすみの原因となります。肌再生医療に期待できる毛穴やくすみの改善効果は以下のとおりです。
- 肌のターンオーバーを正常化
- 細胞レベルでの肌の活性化
- 肌のハリの向上
肌再生医療では、細胞培養上清液を利用した成長因子やサイトカインを用いて肌の代謝を促進する可能性があります。肌の代謝が促進されることで、古い角質の除去と新しい細胞の生成が促進され、毛穴の開きやくすみが改善されます。
普段からの毛穴ケアも大切です。以下の記事では開き毛穴の原因や毛穴トラブルについてまとめていますので、ぜひご覧ください。
>>正しい毛穴ケアとは?開き毛穴の原因、タイプ別のケア方法とNG習慣を解説
肌の弾力・ハリの改善効果
加齢とともに肌の弾力やハリが失われると、老けた印象を与えてしまいます。主に、真皮層のコラーゲンやエラスチンが減少することが原因です。肌再生医療では、自己由来の真皮線維芽細胞を増やすことで、成分の生成を促進し、肌の弾力とハリを回復させる効果が期待できます。自己由来の真皮線維芽細胞の役割は以下のとおりです。
- コラーゲンの生成
- エラスチンの生成
- ヒアルロン酸の生成
肌再生医療による自己由来の真皮線維芽細胞の活性化方法は、以下のとおりです。
- 自己の線維芽細胞を培養して注入
- 成長因子を含む溶液の注入
肌再生医療により肌の土台を強化し、ハリと弾力を取り戻す効果が期待できます。効果は通常、治療後数か月かけて徐々に現れてきます。
肌再生医療では、患者さま自身の細胞を培養し、肌に戻すことでハリや弾力の改善が期待されます。治療法の特徴は、患者さま自身の細胞や成長因子を利用することで、肌を内側から再生させる点にあります。
ただし、個人差があることや、効果が現れるまでに時間がかかる場合があることにも注意が必要です。
肌再生医療の施術の流れと費用
肌再生医療は、自分の細胞の力を利用して肌の再生を目指す治療法です。肌再生医療の具体的な施術の流れと費用について、解説していきます。
効果の持続期間
肌再生医療の効果の持続期間は、治療法や個人の体質、生活習慣などによって異なりますが、一般的には2~3年程度とされています。ただし、肌の老化は継続的に進行するため、効果を長く維持するには以下の点に注意が必要です。
- 定期的なメンテナンス
- 紫外線や乾燥からの保護
- バランスの取れた食生活
- 医師の指示に従った適切なケア
効果を最大限に発揮し、持続させるためには、上記の点に留意しながら、継続的なケアを行うことが重要です。
施術の流れと時間
肌再生医療の施術は、大きく分けて3つのステップで行われます。
- カウンセリングと診察
医師による現在の肌状態の評価を行う。患者さまの悩みに合わせた最適な治療法を提案する。治療内容、リスク、費用などの詳細な説明を行う。 - 細胞の採取
治療法に応じて、患者さま自身の細胞を採取する。採取方法は治療内容によって異なる。 - 細胞の培養・加工と移植
採取した細胞を専用施設で培養・加工を行う。培養期間は数週間程度であり、培養完了後、注射や塗布などの方法で肌に移植する。
施術時間は治療内容や範囲によって異なりますが、1回あたり数時間程度かかる場合もあります。細胞採取や移植の際には麻酔を使用するため、痛みはほとんどありません。
ダウンタイム
肌再生医療のダウンタイムは、治療内容や個人差によって異なりますが、一般的には比較的短いとされています。ダウンタイムの特徴は以下のとおりです。
- 腫れや赤みが1~3日程度続く場合がある
- 日常生活に支障が出るほどの痛みや腫れは少ない
ダウンタイムに関する注意点として、施術前に医師と相談し、仕事や予定への影響を考慮することをおすすめします。ダウンタイムには個人差があるため、余裕を持ったスケジュール調整が望ましいです。
施術の種類と費用相場
肌再生医療の施術にはさまざまな種類があり、それぞれ特徴や費用が異なります。
当院で取り扱っている肌再生治療と費用についてまとめました。
施術名 | 金額(税込) | |
フレンチショットU225(幹細胞培養上清液)* | 全顔 | 110,000円 |
フレンチショットU225プレミアム(Dr.乾オリジナル薬液)* | 全顔 | 220,000円 |
フレンチショットU225(幹細胞培養上清液)* | 全顔+首 | 165,000円 |
フレンチショットU225プレミアム(Dr.乾オリジナル薬液)* | 全顔+首 | 275,000円 |
幹細胞培養上清液 局所注射 | 1㏄ | 66,000円 |
Dr.乾オリジナル 局所注射(Dr.乾オリジナル薬液) | 1㏄ | 88,000円 |
フレンチショットU225(幹細胞培養上清液)* | 両手の甲 | 44,000円 |
詳しい情報や治療法について知りたい方は、当院までお問い合わせください。
他の美容治療との比較
肌再生医療は、レーザー治療やヒアルロン酸注入などの従来の美容治療とは異なる特徴を持っています。従来の美容治療(レーザー、ヒアルロン酸注入など)の特徴は以下のとおりです。
- 即効性がある
- 効果の持続期間が比較的短い(数か月~1年程度)
- 定期的な施術が必要
肌再生医療の特徴は以下のとおりです。
- 効果が現れるまでに時間がかかる(数週間~数か月)
- 根本的な肌質改善を目指せる
- 自然な仕上がりが期待できる
- 効果が比較的長持ちする(2~3年程度)
肌再生医療は、従来の美容治療と比べて高額になる傾向がありますが、長期的な視点で見ると、選択肢の一つとして検討されることもあります。例えば、ヒアルロン酸注入を年に2回行う場合と、3年に1回の肌再生医療を比較すると、総費用が同程度になることもあります。
肌再生医療は、自己の細胞を利用して肌を根本から再生させる効果が期待できる革新的な治療法です。効果の持続期間が長く、自然な仕上がりが期待できる一方で、高額な費用がかかる傾向があります。
信頼できる医療機関での詳細なカウンセリングと、慎重な判断が重要です。自分に合った治療法を選ぶことで、より若々しく健康的な肌を目指すことが可能です。ただし、肌再生医療はあくまでも医療行為であることを忘れず、適切な知識と理解のもとで治療を受けることが大切です。
肌再生医療のメリット
肌再生医療の主なメリットは、従来の美容治療では困難だった根本的な肌質改善を目指せる点にあります。
肌の土台から再構築
加齢に伴う肌のハリや弾力の低下は、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸といった肌の構造タンパク質や保湿成分の減少が原因です。肌再生医療では、患者さま自身の細胞を利用して成分の産生を促進を目指します。具体的な効果は以下のとおりです。
- コラーゲン生成の促進
- エラスチン産生の増加
- ヒアルロン酸量の向上
肌の基礎構造を強化することで、より自然で持続的な効果が期待できます。
自然な仕上がり
自己由来の細胞を使用するため、異物反応のリスクが低く、自然な仕上がりが期待できます。人工的な素材を注入する従来の治療とは異なり、自分の肌が若返ったような効果を得られる可能性があります。
多様な肌悩みへの対応
肌再生医療は、さまざまな肌トラブルの改善に役立つ可能性があります。
- シミ
- シワ
- たるみ
- ニキビ跡
- 傷跡
- 毛穴の開き
- くすみ
上記の問題に多角的にアプローチすることで、総合的な肌質改善を目指せます。さらに、幹細胞培養液の併用により、効果を高められる可能性も示唆されています。
再生医療のデメリット
肌再生医療には、以下のデメリットも存在します。
- 高額な費用
- 効果発現までに時間がかかる
- 効果の持続時間の問題
高額な費用
最先端技術を用いるため、治療費用は高額になる傾向があります。
費用の目安は以下のとおりです。
- 基本的な治療:数万〜数十万円
- 複合的な治療:数百万円
ただし、治療範囲、使用する細胞の種類、クリニックによって費用は大きく異なります。複数のクリニックで相談し、費用対効果を慎重に検討することが重要です。
効果発現までの時間
即効性を期待する場合、肌再生医療は適していない可能性があります。効果を実感するまでには、通常以下の時間が必要です。
- 初期の改善:2~4週間
- 顕著な効果:2~3か月
- 最大効果:6か月~1年
上記の時間は、細胞の再生や新たなコラーゲンの形成に必要な期間を反映しています。
効果の持続期間
効果の持続期間は個人差がありますが、一般的に2〜3年程度とされています。しかし、以下の要因により変動する可能性があります。
- 年齢
- 生活習慣
- 紫外線暴露
- ストレス
効果を維持するためには、定期的なメンテナンス治療が必要となる場合もあります。
以下の記事では、再生医療のデメリットやリスクに焦点を当てて解説をしていますので、合わせてご覧ください。
>>再生医療のデメリットとは?知っておきたいリスクと注意点
再生医療の副作用とリスクについて
肌再生医療は自己由来の細胞を使用するため、一般的にアレルギーのリスクは低いとされていますが、副作用が生じる可能性があります。
- 腫れや赤み、内出血
約80%の方で一時的に発生する。持続期間は通常3〜7日。以下の場合は症状が2週間以上続く、痛みが増強する発熱を伴う場合は、医師に相談が必要。 - 感染
発生頻度は1%未満である。感染リスクを最小限に抑えるため、無菌環境での施術、術後の抗生物質投与、適切なアフターケア指導などの対策が取られている。 - しこり
約5%の方が発生する。しこりの原因は、注入した細胞の不均一な分布であり、軽いマッサージで改善することが多い。持続する場合は医師による追加処置が必要な場合がある。
上記の副作用やリスクは、適切な施術技術と術後ケアにより最小限に抑えることができます。しかし、完全に排除することはできないため、治療を受ける前に十分な説明を受け、理解することが重要です。
まとめ
肌再生医療は、根本的な肌質改善を目指せる革新的な治療法です。しかし、高額な費用や効果発現までの時間、稀な副作用リスクなど、考慮すべき点も多くあります。治療を検討する際は以下のポイントを押さえることをおすすめします。
- 自分の肌の状態と改善したい点を明確にする
- 複数のクリニックで相談し、情報を比較する
- 費用対効果を慎重に検討する
- 潜在的な副作用とリスクについて十分に理解する
信頼できる医療機関での詳細なカウンセリングと慎重な判断が、美しい肌への近道となります。
以下の記事では再生医療の美容効果について解説していますので、合わせてご覧ください。
>>再生医療の美容効果とは?種類や治療法、メリット・デメリットを解説
参考文献
Sousan Cheong, Han Yang, Choukuan Hao, Feng Lu, Yunfan He. Correction of Infraorbital Dark Circles Using Autologous Adipose-Derived Collagen Filler: A Novel Regenerative Option. Aesthetic Plast Surg, 2024