SASP(サスプ)とは何か

2023.02.15 更新

SASP(サスプ)について、ご存知でしょうか。

今はまだ、一部の医療従事者や健康オタクにしか知られていません。

しかしながら、個人的な予測では、「メタボリックシンドローム」程度に一般的に認知される表現になると予想しています。

 

 

「老化細胞/細胞老化とは何か?」でも、SASPについて触れました。

SASP = senescence-associated secretory phenotype、細胞老化関連分泌現象の事です。

細胞老化(senescence)に関連(associated)して、老化細胞から分泌(secretory)された物質により、周囲が炎症を起こし各種の現象(phenotype)を引き起こす。

文字通りです。

 

細胞分裂が限界まで達したヘイフリック限界を迎えたり、あまりにダメージを受け過ぎた際に、細胞は老化細胞となります。

本来は、その細胞が“がん細胞”にならない様にする為の防御機構の筈なのですが。

老化細胞があまりに体内に増えすぎると、免疫細胞による貪食や、細胞の自殺と呼ばれるアポトーシスによる排除が追い付きません。

結果、体内に残存する老化細胞により、周囲に炎症が起こり、高血圧や糖尿病、脂質異常、動脈硬化などの生活習慣病に至ります。

 

こうして捉えてみると、SASPで起きていることは、メタボリックシンドロームで起きていることと同様です。

老化細胞 → 周囲に炎症 → SASP(サスプ)

脂肪細胞 → 周囲に炎症 → メタボリックシンドローム

です。

 

それならば、メタボリックシンドロームの根本治療が「やせる!!」ことである様に、SASP(サスプ)の根本治療も老化細胞を「なくす!!」ことと考えられます。

老化細胞は

・免疫細胞による貪食

・アポトーシス(細胞の自殺)

によって、除去されます。

 

それゆえ、

・免疫細胞による貪食 → 免疫力を上げよう、免疫細胞を活性化しよう

・アポトーシス(細胞の自殺) → アポトーシスを誘導しよう

となります。

 

最近では、後者のアポトーシスを誘導する薬剤として、老化細胞除去薬(セノリティクス)の開発研究が進んでいます。

国内でも、東京大学医科学研究所でGLS-1阻害剤の開発研究が進められています。

本当にそう遠くない未来、「人類が老化という病を克服する」時代が見えてきています。