ほうれい線は、多くの人が気にする肌の悩みの一つです。年齢を重ねるにつれて深くなるほうれい線の悩みは、実は20代でも現れることがあるのをご存知ですか? ほうれい線は、加齢による肌の衰えだけでなく、生活習慣や表情のクセによっても悪化することがあります。
本記事では、ほうれい線の種類や原因から、自宅でできる対策、さらにはクリニックでの施術まで、具体的な改善方法を詳しく解説します。記事を読めば、適切なケアと対策を行え、ほうれい線を改善して若々しい印象を取り戻せます。
目次
自宅でできるほうれい線の改善対策
ほうれい線を薄くするためには、原因にアプローチすることが重要です。ここでは、自宅でできる具体的な対策方法を紹介します。
自宅でできる筋トレとマッサージ法
ほうれい線対策として、まず取り組みたいのが顔の筋トレとマッサージです。顔の筋肉は、身体の筋肉と同様に、使わなければ衰えてしまいます。筋トレによって表情筋を鍛え、マッサージで血行を促進すれば、肌のたるみを予防・改善し、ほうれい線を目立たなくできます。
ほうれい線改善に効果的な筋トレは以下のとおりです。
- 口角を上げる運動: 口を大きく「あ」「い」「う」「え」「お」と動かす。1日3セット、1セット10回繰り返します。
- 頬を持ち上げる運動: 頬を膨らませたり、へこませたりを繰り返します。1日3セット、1セット10回繰り返します。
- 舌回し運動: 口を閉じたまま、舌を歯茎に沿ってぐるりと回します。左右10周ずつ行います。
上記の運動は、いつでもどこでも手軽に行えるのがメリットです。毎日継続することで、効果を実感しやすくなります。
【ほうれい線改善に効果的なマッサージ】
- リンパマッサージ: 耳の後ろから鎖骨に向かって、優しく指を滑らせます。老廃物を流すイメージで、優しく行うことがポイントです。
- ツボ押し: ほうれい線の起点となる「迎香(げいこう)」、頬骨の下にある「巨髎(こりょう)」などを優しく指圧します。
マッサージは、入浴後など、血行が良い状態で行うとより効果的です。ただし、強くこすりすぎると、肌への負担が大きくなってしまうため、注意が必要です。
効果的な化粧品とスキンケアの選び方
ほうれい線を目立たなくするためには、保湿を徹底し、肌のハリや弾力を保つことが大切です。化粧品を選ぶ際には、以下の成分に注目してみましょう。
- コラーゲン: 肌の弾力を保つために欠かせない成分です。加齢とともに減少していくため、化粧品などで補うことが重要です。
- レチノール: 肌のターンオーバーを促進し、コラーゲンの生成を促します。
- ビタミンC誘導体: メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐとともに、コラーゲンの生成を促進します。
上記の成分が配合された化粧水や美容液、クリームなどを使い、肌に潤いを与え、ハリを保つように心がけましょう。
食生活と生活習慣の見直しポイント
食生活や生活習慣の乱れは、肌の老化を早め、ほうれい線を悪化させる原因になります。健康的な肌を保つためには、以下の点に注意しましょう。
【食生活】
- タンパク質を積極的に摂取する: タンパク質は、コラーゲンの材料になる栄養素です。肉、魚、大豆製品などをバランス良く食べましょう。
- ビタミンC・Eを摂取する: ビタミンC・Eには、抗酸化作用があり、活性酸素から肌を守り、コラーゲンの生成を助けます。果物や野菜を積極的に食べましょう。
- バランスの取れた食事を心がける: 特定の栄養素ばかりを摂取するのではなく、主食・主菜・副菜をそろえ、バランスの取れた食事を心がけましょう。
- 水分を十分に摂る: 水分不足は、肌の乾燥を招き、ほうれい線を目立たせる原因になります。1日を通して、こまめに水分補給を心がけましょう。
【生活習慣】
- 十分な睡眠をとる: 睡眠中は、肌の修復や再生が行われる大切な時間帯です。質の高い睡眠を十分に確保しましょう。
- 適度な運動をする: 適度な運動は、血行促進効果があり、肌の新陳代謝を促します。
- ストレスを溜め込まない: ストレスは、ホルモンバランスを乱し、肌の老化を早める原因になります。自分なりのストレス解消法を見つけ、上手に発散しましょう。
- 紫外線対策をしっかり行う: 紫外線は、肌の老化を促進させる最大の要因です。日焼け止めを塗布したり、帽子や日傘を使用したりするなど、UVケアを徹底しましょう。
- 禁煙する: 喫煙は、血行不良を引き起こし、肌の老化を進めます。
生活習慣を改善することで、肌の老化を遅らせ、ほうれい線を予防・改善することができます。
当クリニックは最先端医療をもとに老化が治療できるように症例を集積しております。そもそもの「老化の原因と対策」についても別記事で紹介しているので、合わせてご確認ください。
>>老化の原因と対策!なぜ起こるのか?何歳から始めるべきかを徹底解説
クリニックでの施術によるほうれい線対策
自宅でのケアに加えて、クリニックでの施術を取り入れることで、より効果的にほうれい線を改善できる可能性があります。さまざまな施術方法があるので、ご自身の症状や希望に合ったものを医師と相談しながら選びましょう。
ほうれい線治療は、お顔の状態や希望される効果、予算やダウンタイムなどを考慮して、最適な治療法を選びましょう。まずは医師とのカウンセリングでしっかりと治療方針を決定してください。
効果が期待できる施術と内容
ほうれい線治療に使用される主な施術と内容を、具体的に見ていきましょう。
施術名 | 内容 | 効果 | 施術時間 | 費用相場 |
ボトックス注射 | ボツリヌストキシンを注射することで、筋肉の収縮を抑制し、シワの改善や小顔効果を得る施術 | ・表情じわ(眉間、額、目尻など)の改善に効果的
・エラ張りの改善による小顔効果が期待できる ・多汗症やワキガの改善にも効果がある ・効果は3~6か月程度持続し、定期的な施術で効果を維持できる ・ダウンタイムはほとんどなく、即日社会復帰が可能 |
10~30分程度 | 3~10万円程度 |
ショートスレッド | 皮膚の下に特殊な糸を挿入し、たるんだ皮膚を引き上げることで、ほうれい線を改善する施術 | ・持続効果が比較的長く、顔全体のたるみを改善できる
・挿入する糸の種類によって効果の持続期間や効果が異なる(1年〜数年効果が持続するものもある) ・ダウンタイムは短いが、内出血のリスクもある ・医師の技術力によって仕上がりが左右される |
30~1時間程度 | 10~50万円程度 |
高周波治療 | 高周波を照射することで、コラーゲンやエラスチンの生成を促し、肌にハリと弾力を与える施術 | ・肌の奥深くから働きかけるため、持続的な効果が期待できる
・施術による痛みはほとんどなく、ダウンタイムも短い ・効果の実感には個人差がある ・複数回の施術を継続することで、より高い効果が期待できる |
30分~1時間程度 | 5~20万円程度 |
レーザー治療 | レーザーを照射することで、肌のターンオーバーを促進し、コラーゲンの生成を促す施術 | ・肌質改善効果(シミやくすみなど)も期待できる
・肌の表面に微細な穴をあけることで、肌の再生能力を高める ・ダウンタイムはレーザーの種類や照射範囲によって異なる(数日~1週間程度) |
10~30分程度 | 3~10万円程度 |
施術を受ける際には、リスクや副作用、施術後の注意点などについて、事前に医師から説明を受けることが重要です。
最新の治療法と効果
近年では、再生医療や細胞治療といった、最新の技術を用いたほうれい線治療も登場しています。ほうれい線の最新の治療法は以下のとおりです。
- PRP療法:患者様自身の血液から採取した多血小板血漿(PRP)を注入することで、細胞の再生を促し、肌の若返りを図る治療法です。自身の血液を使用するため、アレルギー反応などのリスクが低い点がメリットです。効果の持続期間は個人差があります。一般的には1~2年程度です。
- 幹細胞治療:脂肪などから採取した幹細胞を培養し、ほうれい線に注入することで、コラーゲンやエラスチンの生成を促進し、肌の弾力やハリを回復させる治療法です。再生医療の一種であり、高い効果が期待されています。効果の持続期間は個人差がありますが、数年以上にわたって効果が期待できる場合もあります。
最新治療は、従来の治療法では難しかった、根本的な肌の若返り効果が期待できます。
ほうれい線対策にかかる費用について
クリニックでのほうれい線対策は、自由診療に分類されることが多く、保険適用外となるため、全額自己負担です。施術内容や使用する薬剤、クリニックによって費用は大きく異なります。
高額な治療となる場合もあるため、事前に複数のクリニックでカウンセリングを受け、費用や施術内容を比較検討することが大切です。クリニックによっては、治療費の分割払いなどの支払い方法を用意している場合もあるため、相談してみましょう。
ほうれい線ができる主な原因
ほうれい線ができる主な原因は以下のとおりです。
- 加齢による影響
- 生活習慣の影響
- 表情のクセと姿勢
- 遺伝的要因
- 環境要因
ほうれい線の主な原因と、ほうれい線がどのように影響するか詳しく解説します。
加齢による影響
加齢は、ほうれい線形成の最も一般的な要因です。年齢を重ねるにつれて、肌のハリや弾力を保つコラーゲンやエラスチンの生成量が減少します。
20代の肌は、真皮層に豊富に存在するコラーゲンやエラスチンの網目状構造により、みずみずしさと弾力を保っています。しかし、加齢とともに、コラーゲンやエラスチンなどの成分の生成量が減少し、既存の成分も劣化していきます。結果、肌の弾力が失われ、重力の影響でたるみが生じやすくなるのです。
生活習慣の影響
生活習慣もほうれい線の形成に大きく関与します。以下の要因が肌の老化を加速させ、ほうれい線を深くする可能性があります。ほうれい線の発生に影響する生活習慣は以下のとおりです。
- 紫外線露出:コラーゲンを破壊し、肌のハリや弾力を失わせる
- 乾燥:肌のバリア機能を低下させ、シワやたるみの原因になる
- 睡眠不足:肌のターンオーバーを乱し、コラーゲンの生成を阻害する
- 喫煙:血行不良を引き起こし、肌の老化を促進する
- 偏った食生活:肌に必要な栄養素が不足し、肌の老化を早める
上記の要因は、個人の生活スタイルや環境によって大きく異なります。屋外での活動が多い人は、そうでない人に比べて紫外線による肌ダメージを受けやすく、ほうれい線やシミが目立ちやすくなる傾向があります。
若い頃から紫外線対策を徹底している人は、年齢を重ねてもシワやたるみが少ない傾向があります。
表情のクセと姿勢
日常的な表情のクセや姿勢も、ほうれい線の形成に影響を与えます。ほうれい線ができやすくなる表情のクセと姿勢は以下のとおりです。
- 頻繁に眉をひそめる仕草
- 口角を下げがちな表情
- 猫背やうつむき加減の姿勢
習慣的な動作や姿勢は、長年の積み重ねによって肌に永続的な影響を与える可能性があります。デスクワークが多い現代社会では、姿勢の悪さによるほうれい線の悪化が問題です。
遺伝的要因
ほうれい線の出やすさには、遺伝的な要因も関与しています。両親や祖父母のほうれい線の特徴が、子や孫に受け継がれることがあります。顔の骨格構造や皮膚の性質、コラーゲンの生成能力などが遺伝的に決定されるためです。
遺伝的要因があるからといって、ほうれい線の形成を完全に避けられませんが、適切なケアや生活習慣の改善で軽減は可能です。
環境要因
生活環境もほうれい線の形成に、以下のような影響を与えます。
- 乾燥した気候:肌の水分を奪い、シワやたるみを促進する
- 大気汚染:肌の酸化を促進し、コラーゲンの破壊を加速させる
- ストレスの多い環境:ストレスホルモンの分泌により、肌の老化を早める
環境要因は、個人の努力だけでは完全に制御することが難しい場合もあります。適切な対策を講じれば、影響を最小限に抑えられます。
ほうれい線の分類
ほうれい線は、大きく分けて「影ほうれい線」と「構造ほうれい線」の2つに分類できます。
影ほうれい線
影ほうれい線は、皮膚のたるみや凹凸によって影ができることで現れるほうれい線です。乾燥や表情のクセ、紫外線によるダメージや睡眠不足、食生活の乱れなどによって一時的に現れることがあります。
デスクワークで長時間同じ体制を取り続けていると、顔の筋肉が凝り固まり、血行不良を起こしやすくなります。結果、肌に栄養や酸素が行き渡らず、乾燥しやすくなるため、ほうれい線ができやすくなってしまうのです。
猫背やスマホの使いすぎなど、うつむき姿勢が多い方は要注意です。顔の皮膚を下に引っ張るため、ほうれい線を悪化させる原因になります。影ほうれい線は、初期段階であることが多く、適切なスキンケアや生活習慣の改善によって薄まります。
構造ほうれい線
構造ほうれい線が発生する原因は、以下のとおりです。
- 加齢に伴う肌の弾力低下
- 皮下脂肪の減少
- 骨の萎縮
皮膚自体がたるみ、深い溝として現れます。長年の紫外線ダメージや重力の影響を受け続けることで、肌の奥にあるコラーゲンやエラスチンといったハリや弾力を保つ成分が減少します。肌の土台が崩れてしまうことが大きな原因です。
紫外線は肌の老化を進める要因の一つです。紫外線を浴びると、肌の中で活性酸素が発生し、コラーゲンやエラスチンを破壊してしまいます。コラーゲンやエラスチンは、肌のハリや弾力を保つために欠かせない成分です。コラーゲンやエラスチンが減少すると、肌はたるみやすくなり、ほうれい線ができやすくなってしまいます。
加齢に伴い、骨密度が低下し、顔の骨が痩せていくことも、ほうれい線を深くする要因の一つです。頬骨や顎の骨が痩せると、顔の脂肪を支えきれなくなり、皮膚がたるみやすくなります。
構造ほうれい線は、影ほうれい線よりも深く刻まれやすく、セルフケアだけでは改善が難しいケースもあります。そのため、美容医療の力を借りることも視野に入れましょう。
まとめ
ほうれい線は、加齢や生活習慣によってできる肌の溝です。大きく「影ほうれい線」と「構造ほうれい線」の2種類があり、それぞれ原因や対策が異なります。
影ほうれい線は、肌のたるみによる影で、適切なスキンケアや生活習慣改善で薄くなる可能性があります。構造ほうれい線は、肌の弾力低下や骨の萎縮などが原因で、深い溝となり、セルフケアだけでは改善が難しい場合もあります。
ほうれい線の対策には以下の方法がおすすめです。
- 顔の筋トレやマッサージ
- 適切な化粧品選び
- 食生活の改善
- 生活習慣の見直し
効果を高めるには、美容医療の力を借りるのも有効です。ボトックス注射やショートスレッドリフトなど、さまざまな施術方法があります。最適な方法を選び、継続することが大切です。
ほうれい線の他にも、頬のたるみやフェイスラインのたるみが気になっている方もいるのではないでしょうか。以下の記事もぜひチェックしてみてください。
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参考文献
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- Takeshi Kaneko, Akinobu Miyata, Akira Kodama. Effects on Facial Sagging and Nasolabial Fold when Using Cosmetic Serum and Facial Massage. Shinryo to Shinyaku
- Hirohisa Kojima, Akinobu Miyata, Satoshi Igaki. Evaluation of Effect the Wrinkles, the Nasolabial Fold, and the State of Skin by the Cosmetic Pack Use. Shinryo to Shinyaku