鏡を見るたびに、頬のたるみが気になっていませんか? 株式会社資生堂の調査によると、30~40代の日本人女性は自身のたるみを実際より軽く認識しており、特に頬では8.1歳の差があることが判明しました。多くの方が顔のたるみを過小評価している傾向があり、たるみを気にしていることが伺えます。
適切なケアや対策を行うことで、たるみの進行を遅らせたり、目立ちにくくしたりすることが可能です。この記事では、頬のたるみの原因から、即効性のある筋トレやマッサージを紹介します。自信に満ちた若々しい笑顔を取り戻しましょう。
頬のたるみの原因4つ
主な頬のたるみの原因は、以下の4つです。
- 加齢による皮膚のコラーゲン減少
- 生活習慣がもたらす影響
- 遺伝的要因とその影響
- 環境要因の影響
原因について詳しく見ていきましょう。
加齢による皮膚のコラーゲン減少
年を重ねると、頬はたるんでしまいます。20代をピークに皮膚のコラーゲンの生成量は減少し、肌の弾力やハリが失われてしまうからです。
顔のハリを保つためには、コラーゲンやエラスチンなどの真皮層の成分が欠かせません。コラーゲンで肌の弾力を保ち、エラスチンで肌に柔軟性を与え、伸び縮みしていますが30代以降は生成量の減少により、肌の弾力やハリが失われ、たるみが生じます。
加齢によるコラーゲン減少は自然な現象ですが、影響は肌のハリにとどまりません。肌の水分保持能力も低下するため、乾燥しやすくなったり、小ジワが増えたりします。
生活習慣がもたらす影響
「最近、スマホを見る時間が増えた」「睡眠不足が続いている」そんな方は要注意です。日常生活の何気ない習慣が、頬のたるみを加速させているかもしれません。頬のたるみを加速させるメカニズムは以下のとおりです。
表情筋が衰える
長時間スマホを傾きながら見ると、首への負担が大きくなり、顔の筋肉が衰えやすくなります。顔の筋肉は、表情を作るための「表情筋」と言います。顔の筋肉は、加齢や姿勢の悪さなどの影響を受けやすく、衰えることが多いです。表情筋が弱まると、肌を支える力が低下し、結果としてたるみが生じます。
肌のターンオーバーを阻害する
睡眠不足や栄養バランスの偏り、喫煙は、肌のターンオーバーを妨げ、たるみの原因になります。肌のターンオーバーとは、肌細胞が新しく生まれ変わるサイクルのことです。健康な肌であれば、約28日間で新しい細胞に生まれ変わります。睡眠不足や栄養不足、喫煙などの影響で、ターンオーバーが乱れると、古い角質が肌に蓄積しやすくなり、肌のくすみやたるみの原因になります。
遺伝的要因とその影響
コラーゲンやエラスチンの量、肌の弾力性などは、遺伝によって個人差があります。ある研究では、皮膚の弾力性の約60%が遺伝的要因によって決定されるという結果が出ています。
遺伝的な要因は、自分ではコントロールできませんが、日々のケアや生活習慣の改善によって、たるみを予防・改善できます。
環境要因の影響
紫外線や乾燥、大気汚染物質など、環境要因も頬のたるみに影響を与えます。
紫外線
紫外線は、肌の弾力を保つコラーゲンやエラスチンを分解し、たるみの原因になります。紫外線は、肌の老化を進める要因の一つです。日本皮膚科学会の調査によると、紫外線による肌ダメージの約80%は日常生活で浴びる紫外線によるものだと報告されています。日焼け止めを塗ったり、日傘をさしたりするなどして、紫外線対策を行いましょう。
乾燥
乾燥も肌のバリア機能を低下させ、たるみやすい状態を作ります。乾燥した状態が続くと、肌の表面はカサカサになり、バリア機能が低下します。外部からの刺激を受けやすくなり、炎症やたるみにつながるのです。こまめな保湿ケアを心がけましょう。
大気汚染物質
近年の研究では、大気汚染物質が肌にダメージを与え、老化を促進させる可能性も指摘されています。大気汚染物質には、活性酸素を発生させる物質が含まれており、肌にダメージを与えます。
頬のたるみは肌の老化も影響しています。肌の老化防止について、以下の記事で詳しく解説しているので、より深く知りたい方はぜひご覧ください。
>>肌老化の4つの原因!予防するためのスキンケア術や生活習慣も合わせて解説 | 銀座アイグラッドクリニック
頬のたるみは3種類ある
頬のたるみと一口に言っても、種類はさまざまです。「たるみ」「ほうれい線」「マリオネットライン」の3つに分類されます。
たるみ
頬の肉が重力に負けて下に垂れ下がった状態です。頬の脂肪は、加齢とともに減少しやすい部分と、逆に残りやすい部分があります。脂肪が減少しやすい部分は、こけてしまい、逆に残りやすい部分は、重力に負けてたるみます。
ほうれい線
鼻の両脇から口角に向かってできるシワのことです。ほうれい線は、頬のたるみに加えて、口周りの筋肉の衰えや乾燥なども原因で、悪化しやすくなります。
マリオネットライン
口角から下に伸びるシワです。操り人形のように見えることから「マリオネットライン」と呼ばれています。頬のたるみや口周りの筋肉の衰えが原因で、悪化しやすくなります。
目の下のたるみが気になる方は以下の記事もぜひチェックしてみてください。
>>目の下のたるみを取りたい!原因や治療法、自力でできる対策も紹介
自宅で簡単|即効性のある筋トレ5選
表情筋は意識して動かすことが少ないため、衰えやすく、たるみの大きな原因になります。自宅で簡単にできる即効性のある筋トレ5選は以下のとおりです。
日々のトレーニングで筋肉を強化すれば、フェイスラインの引き締めやハリを取り戻せます。
口輪筋トレーニング
口輪筋トレーニングのやり方は以下のとおりです。
- ステップ1:唇を閉じて「うー」と発音する(10回×3セット)
- ステップ2:口を大きく開けて「あ・い・う・え・お」と発音する
鍛えられる筋肉の部位は、口周りや口を閉じたり開いたりする部分です。口元のたるみ改善に効果があります。口周りの筋肉が刺激され、引き締め効果が期待できます。
大頬骨筋トレーニング
大頬骨筋トレーニングのやり方は以下のとおりです。
- ステップ1:笑顔を作るように口角を上げて5秒間キープする(5回×3セット)
- ステップ2:頬を膨らませて空気を移動させる
鍛えられる筋肉は、頬の高い位置や笑顔を作る動きに使う部分です。頬のリフトアップの効果があります。
コアフェイストレーニング
コアフェイストレーニングは、顔の中心部分の筋肉を鍛えることで、全体的な引き締め効果を狙います。やり方は以下のとおりです。
- ステップ1:姿勢を正し、目を大きく開いて上の歯8本が見えるように笑顔を作る
- ステップ2:指でV字を作り、頬を持ち上げて5秒キープ
- ステップ3:指を離して5秒キープ(3〜5セット繰り返す)
鍛えられる筋肉部位は、顔の中心部分です。顔全体の引き締め効果があるのでおすすめのトレーニングです。
「あ・い・う・え・お」エクササイズ
「あ・い・う・え・お」エクササイズは、口の形を変えることで、顔全体の筋肉を動かします。各母音を5秒ずつキープしながら大きく口を動かします。顔全体を鍛えることができ、頬や顎の筋肉のフェイスラインを引き締めることが可能です。
ムンクの顔トレーニング
ムンクの顔トレーニングは、有名な絵画「叫び」のポーズを参考にしたトレーニングです。口を大きく開けて目線だけを上に向けます。顔の上部と下部が鍛えられます。頬や顎の筋肉のフェイスラインの引き締めに効果があり、手軽にできるのでおすすめです。
エクササイズを行う際の注意点
エクササイズを行う際は、以下の点に注意しましょう。
- 週2〜3回程度を目安に行う
- 1回のトレーニング時間は1〜2分程度に抑える
- 顔全体の筋肉をバランス良く鍛える
- トレーニング後は首のストレッチを行い、リンパの流れを促進する
エクササイズを継続的に行うことで、頬のたるみ改善が期待できます。ただし、過度なトレーニングは逆効果になる可能性があるため、適度な頻度と強度を守りましょう。
顔のたるみが気になる方は以下の記事もぜひチェックしてみてください。
>>顔のたるみが治った方法とは?即効性がある方法や意外な習慣も解説
スキンケアや生活習慣の見直しが重要
エクササイズと一緒に、適切なスキンケアや生活習慣の改善も心がけましょう。十分な睡眠や水分摂取、バランスの取れた食事なども、肌の健康維持に重要な要素です。コラーゲンの生成を促すビタミンCや、タンパク質の摂取は、肌の弾力性を保つのに役立ちます。
適切な洗顔と保湿は、肌の健康を保つ基本です。日焼け止めの使用も重要です。紫外線は肌の老化を促進する大きな要因の一つで、たるみの原因にもなります。エクササイズと生活習慣の改善を組み合わせることで、より効果的に頬のたるみ改善に取り組めます。
継続は力なりです。毎日少しずつでも続けることで、徐々に変化を感じられます。若々しい印象を保ち、自信に満ちた笑顔を取り戻しましょう。
まとめ
頬のたるみは、加齢や生活習慣などさまざまな要因が複合的に影響する、だれにでも起こりうる現象です。頬のたるみ改善には、適切な筋トレとエクササイズが効果的です。過度なトレーニングは避け、適度な頻度と強度を守りましょう。
エクササイズだけでなく、適切なスキンケアや生活習慣の見直しも一緒に行うことで、より効果的にたるみ改善に取り組めます。たるみ改善には継続的なケアが大切です。自分に合った方法を見つけ、若々しい印象を保ちましょう。
フェイスラインのたるみが気になる方は以下の記事もぜひチェックしてみてください。
>>フェイスラインのたるみの治し方とは?今すぐできる筋トレや美容医療も解説
参考文献
- Mataro I, La Padula S. “Adverse Events Associated with Hyaluronic Acid Filler Injection for Non-Surgical Facial Aesthetics: A Systematic Review of High Level of Evidence Studies.” Aesthetic plastic surgery 48, no. 4 (2024):742-744.
- Alexiades M, Palm MD, Kaufman-Janette J, Papel I, Cross SJ, Abrams S, Chawla S. “A Randomized, Multicenter, Evaluator-blind Study to Evaluate the Safety and Effectiveness of VYC-12L Treatment for Skin Quality Improvements.” Dermatologic surgery 49, no. 7 (2023):682-688.
- 顔面皮膚の引き締めに対するマイクロフォーカス超音波の有効性に関する系統的レビュー – PMC (nih.gov)