夏の薄着の季節になると、ノースリーブから見える脇肉が気になる方は増えてきます。脇肉は脂肪の蓄積だけでなく、加齢に伴う筋力低下や姿勢の悪化、合わない下着の着用など、さまざまな要因が重なって生じると考えられています。多くの方が同様の悩みを抱えており、自宅でのケアや医療施術など、さまざまな対策を試みています。
この記事では、脇肉ができる原因を医学的な視点から解説し、筋力トレーニングや姿勢改善、医療機関での施術など、改善が期待できる幅広い対策方法をご紹介します。適切な対策を継続することで、理想的なボディラインに近づくことが期待できます。ぜひ参考にしてください。
以下の記事では、脇肉に限らず気になる部位を引き締めるための「部分痩せ」について、どのような方法が効果を期待できるか、理想のボディラインを作るためのポイントを詳しく解説しています。
>>部分痩せはできる?効果が期待できる方法と理想のボディラインを作るコツ
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脇肉ができる5つの原因
脇肉ができる主な原因は、以下の5つです。
- 筋力低下
- 姿勢の悪さ
- 合わない下着の着用
- 脂肪の蓄積
- むくみ
筋力低下
年齢とともに筋肉量は低下します。脇肉に関係する大胸筋や背中、肩甲骨周辺の筋肉が衰えると、脂肪を支えきれず脇へ流れやすくなります。上半身の筋肉が衰えると基礎代謝が低下し、脂肪が燃焼されにくくなることも脇肉の原因です。基礎代謝とは、生命活動を維持するために最低限必要なエネルギー消費量のことです。
筋肉量は基礎代謝に大きく影響するため、筋肉が減ると消費エネルギーが減り、脂肪が蓄積しやすくなります。
姿勢の悪さ
猫背や巻き肩などの姿勢の悪さは、脇肉を目立たせる大きな原因の一つです。医学的には、不良姿勢は筋肉のアンバランスを引き起こし、特定の部位に負担をかけ、脂肪の偏在を助長すると考えられています。胸や背中の筋肉が使われにくくなることで血行やリンパの流れが滞り、老廃物が溜まりやすくなります。
老廃物とは、細胞活動によって生じる不要な物質で、リンパの流れが悪化すると排出されにくくなり、むくみや脂肪の蓄積につながります。巻き肩は、大胸筋がうまく機能せず、バストが下垂しやすくなるため、脇肉が目立つ要因の一つです。
合わない下着の着用
サイズが合っていないブラジャーの着用は、脇肉ができる原因です。小さすぎるブラジャーはバストを強く圧迫し、脂肪を脇へ押し出してしまいます。一方、大きすぎるブラジャーはバストを十分に支えられず、脂肪が脇に流れやすくなります。
ブラジャーは、バストを適切な位置に支え、美しいボディラインを保つ役割があります。サイズが合っていない場合は、バストを正しい位置に保持できず、脇肉が目立つ原因になることがあります。
脂肪の蓄積
脇の下は、脂肪がつきやすい部位です。加齢による代謝の低下や、食生活の乱れ、運動不足などが原因で脂肪が蓄積し、脇肉が目立つようになります。代謝とは、体内で栄養素をエネルギーに変換したり、不要な物質を排出したりする一連の化学反応のことです。加齢とともに代謝機能は低下し、脂肪が燃焼されにくくなります。
むくみ
むくみも脇肉を大きく見せる原因の一つです。むくみは、水分バランスが崩れ皮下に余分な水分が溜まった状態を指します。血流やリンパの流れが悪化すると老廃物や水分が排出されにくくなり、むくみが生じます。脇の下にはリンパ節が多く集まっており、老廃物が溜まりやすいため、むくみが起こりやすい部位です。
むくみによって脇が膨らむと、脂肪と同様に脇肉が目立つ原因になります。
脇肉を改善する方法
脇肉を改善する方法は、以下のとおりです。
- 筋力トレーニング・ストレッチ
- 有酸素運動
- 姿勢改善
- 適切な下着選び
- リンパマッサージ
- 食生活の改善
筋力トレーニング・ストレッチ
脇肉の改善には、脇の下周辺の筋肉を鍛えることが有効とされています。以下の方法は、大胸筋や広背筋、前鋸筋を鍛えるのに役立ちます。
- 腕立て伏せ
- ダンベルフライ
- チューブを使ったトレーニング
- タオルストレッチ
- 肩甲骨回し
腕立て伏せは、大胸筋を鍛えるため、バストアップ効果も期待できます。初心者は、膝をつく方法や、壁に手をつく方法から始めてみましょう。ダンベルフライは、広背筋を鍛え、背中全体を引き締める効果が期待できます。ダンベルの重さは、無理なく10~15回繰り返せる程度に調整しましょう。
チューブトレーニングは、手軽に取り組めるためおすすめです。ゴムチューブを引っ張る動作が、大胸筋や広背筋を効率的に刺激します。タオルストレッチは、肩甲骨の動きを促し、姿勢改善や代謝の向上が期待できます。タオルの両端を持ち、頭の上を通して背中側に引くことで、肩甲骨周辺の筋肉がストレッチされます。
肩甲骨を意識しながら上下、前後、回転させる動きも筋肉の柔軟性を高め、血行促進につながります。トレーニングは、週2〜3回を目安に実施しましょう。無理なく継続することが大切です。
有酸素運動
有酸素運動は脂肪燃焼効果が高く、脇肉を含む全身の脂肪減少に役立ちます。主な有酸素運動は、以下のとおりです。
- ウォーキング
- ジョギング
- 水泳
- サイクリング
ウォーキングは、1日30分程度を目安に継続すると効果が期待できます。ジョギングはウォーキングよりも負荷が高く、脂肪燃焼をさらに促します。シューズの選択やフォームに注意して、安全に取り組みましょう。水泳は全身をバランス良く使いながら運動でき、関節への負担が少ない点が特徴です。運動が苦手な方や高齢の方にも適しています。
サイクリングは景色を楽しみながら行えるため、リフレッシュ効果もあります。坂道や風の抵抗を活用することで負荷の調整も可能です。有酸素運動は、週3回以上、1回30分以上を目標に継続するのが理想です。無理なく始め、徐々に強度や時間を調整することが大切です。
姿勢改善
正しい姿勢を意識することで、筋肉がバランスよく使われ、脇肉の予防や改善が期待できます。猫背や巻き肩などの悪い姿勢は、脇肉を目立たせるだけでなく、肩こりや腰痛の原因にもなります。理想の姿勢は、壁に背中をつけたときに後頭部や肩甲骨、お尻、かかとがすべて壁につく状態です。鏡を使って自分の姿勢を定期的に確認しましょう。
デスクワークでは、1時間に1回程度立ち上がり、背伸びや肩甲骨を回す運動をするのがおすすめです。モニターの高さや角度も適切に調整しましょう。スマートフォンを使用する際は、顎を引き、目線を下げる姿勢を意識してください。長時間の使用は避け、定期的に休憩を取り、首や肩のストレッチを行いましょう。
日常生活の中で正しい姿勢を意識することは、美しいボディラインの維持だけでなく、全身の健康にもつながります。
以下の記事では、お腹周りの部分痩せを目指す方に向けて、効果が期待できる方法や理想的な体型作りのためのコツを詳しく紹介しています。姿勢改善とあわせて参考にしてみてください。
>>お腹の部分痩せは可能?効果が期待できる方法と理想的な体型作りのコツ
適切な下着選び
適切な下着選びのポイントは、以下のとおりです。
- サイズの確認
- 脇高設計のブラジャー
- 素材の選び方
バストサイズは定期的に測定し、自分の体型に合ったブラジャーを選びましょう。サイズが合っていない下着は、脇肉を目立たせるだけでなく、肩こりや血行不良の原因にもなります。脇高設計のブラジャーは、脇までしっかりカバーするため、脇肉の広がりを抑えるのに効果が期待できます。
通気性の良い素材を選ぶことで、蒸れや不快感の軽減も期待できます。綿やシルクなどの天然素材は肌に優しく、快適な着心地をもたらします。適切な下着選びは、美しいバストラインの形成と健康管理の両方にとって重要です。
リンパマッサージ
脇の下にはリンパ節が集中しており、老廃物や余分な水分が溜まりやすい部位です。リンパマッサージを行うことで、老廃物の排出が促進され、むくみの改善や脇肉を目立ちにくくする効果が期待できます。マッサージを行う際は、オイルやクリームを使用し、鎖骨から脇の下に向かってやさしくなでるように行います。
週に2〜3回、入浴後など体が温まっているときに行うのがおすすめです。力を入れすぎると皮膚を傷つけるおそれがあるため、強くこすらず、やさしく丁寧に行うことが大切です。
食生活の改善
バランスの良い食生活は、健康な体を維持するために不可欠です。脂肪や糖質の摂りすぎに注意し、野菜や果物、良質なタンパク質を積極的に摂るように心がけましょう。食生活改善のポイントは、以下のとおりです。
- バランスの良い食事
- 水分摂取
- 規則正しい食習慣
- 加工食品やインスタント食品の制限
主食や主菜・副菜を組み合わせた食事を心がけることで、栄養バランスが整います。水分をこまめに摂ることで代謝が促進され、むくみの予防にもつながります。毎日同じ時間に食事をすることで、体内時計が整い、代謝アップ効果が期待できます。
加工食品やインスタント食品には添加物が多く含まれているため、なるべく避け、自然に近い食材を選ぶようにしましょう。
脇肉改善のための医療施術
脇肉の改善には、医療機関で行う施術という選択肢もあります。代表的な施術は以下のとおりです。
- 脂肪溶解注射
- ハイフ(HIFU)・キャビテーション
- 部分脂肪吸引
脂肪溶解注射
脂肪溶解注射は、脂肪を分解する薬剤を直接脇肉に注射する施術です。デオキシコール酸やホスファチジルコリンといった薬剤が、脂肪細胞膜に作用するとされ、代謝により体外に排出されることが期待されます。溶解された脂肪は、体内の代謝機能によって処理され、徐々に体外へ排出されます。
施術は短時間で完了し、メスを使わないため体への負担が少ない点が特徴です。ダウンタイムも比較的短く、日常生活への影響が少ないため、手軽に取り入れやすい方法です。脂肪溶解注射のデメリットは、以下のとおりです。
- 複数回の施術が必要な場合がある
- 腫れや赤み、内出血、痛みなどの副作用が生じる可能性がある
- 脂肪吸引に比べると効果が穏やかである
以下の記事では、脂肪溶解注射に伴うダウンタイムについて、具体的な期間や症状、軽減するためのポイントを詳しく解説しています。施術前にぜひチェックしてみてください。
>>脂肪溶解注射のダウンタイムとは?期間や症状、軽減する方法を解説
ハイフ(HIFU)・キャビテーション
ハイフ(HIFU)とキャビテーションは、どちらも超音波のエネルギーを利用して脂肪細胞に働きかける施術です。ハイフ(HIFU)は、高密度焦点式超音波を用いて脂肪層に熱エネルギーを集中させ、脂肪細胞を破壊します。キャビテーションは、超音波により脂肪細胞内に気泡を発生させ、気泡の破裂で脂肪細胞膜を壊すしくみです。
破壊された脂肪細胞は老廃物として体外へ排出されます。どちらも切らない施術のため、傷跡の心配がなく、ダウンタイムも短いのが特長です。皮膚の引き締め効果も期待できるため、たるみが気になる方にも適しています。ハイフ(HIFU)・キャビテーションのデメリットは、以下のとおりです。
- 複数回の施術が必要な場合がある
- 効果が出るまでに時間がかかる場合がある
- 施術中の痛みや熱感、赤みなどを生じる場合がある
部分脂肪吸引
部分脂肪吸引は、カニューレと呼ばれる細い管を脇の下に挿入し、直接脂肪を吸引する施術です。脂肪細胞を物理的に除去するため、他の非侵襲的な施術に比べて効果が得られやすいとされています。脂肪吸引は、一度に多くの脂肪を除去できるため、即効性が高い点がメリットです。
除去した脂肪細胞は再生しないため、リバウンドしにくいという点も魅力です。術後の合併症を防ぐ目的で、トラネキサム酸を併用することで出血や内出血のリスク軽減が期待できるという報告もあります。部分脂肪吸引のデメリットは、以下のとおりです。
- ダウンタイムが比較的長い
- 施術費用が他の施術に比べて高い
- 腫れや痛み、内出血、感染などの副作用が生じる可能性がある
どの施術にもメリットとデメリットがあり、向き不向きがあります。効果には個人差があるため、医師とのカウンセリングを通じて、自身の体質や希望、ライフスタイルに合った施術方法を選ぶことが大切です。
まとめ
脇肉ができる主な原因は、筋力低下や姿勢の悪さ、合わない下着、脂肪の蓄積、むくみなどさまざまです。脇肉を改善する方法は、以下のとおりです。
- 筋力トレーニングやストレッチ
- 有酸素運動
- 姿勢改善
- 適切な下着選び
- リンパマッサージ
- 食生活の改善
脂肪溶解注射やハイフ(HIFU)、キャビテーション、脂肪吸引といった医療施術も検討できます。自分の状態や生活スタイルに合った方法を取り入れ、無理なく理想のボディラインを目指すことが大切です。
当院では脂肪溶解注射(カベリン)による痩身治療を行っています。脇肉など気になる部位を狙い撃ちでき、すっきりとしたシルエットを目指せます。初回7,600円(税込)からお試しいただけ、施術時間は部位により5〜15分程度と短時間です。ダウンタイムも短く、施術後すぐに日常生活に戻れます。脂肪溶解注射について、以下のページでより具体的に説明しています。
>>脂肪溶解注射(カベリン)について
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参考文献
Rawan ElAbd, Yasmina Richa, Panthea Pouramin, Todd Dow, Meshari AlNesef, Tyler Safran, Mirko Gilardino, Osama A Samargandi. The Effect of Tranexamic Acid Administration During Liposuction on Bleeding Complications and Ecchymosis: A Systematic Review. Aesthet Surg J, 2025, 45, 2, p.171-179